図書印刷が読売新聞大阪本社の茨木工場業務を受託、新聞印刷拡大へ

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図書印刷が読売新聞大阪本社の茨木工場業務を受託、新聞印刷拡大へ

書籍などの出版印刷中心の大手印刷、図書印刷は、子会社の関西図書印刷が読売新聞茨木工場(写真)から新聞印刷業務の委託を受けることで、読売新聞大阪本社と合意した。読売新聞大阪本社の工場設備の運営を、関西図書印刷が請け負う。

図書印刷は、2000年に読売新聞大阪本社と委託業務契約を結び、01年から神戸工場、04年から京都工場の新聞印刷業務を委託している。この2工場での運営実績や、蓄積してきたノウハウが認められたことが、今回の茨木工場の委託にもつながった。

読売新聞大阪本社は、7カ所ある印刷工場の業務すべてを100%子会社ないしは図書印刷を含めた他社に委託している。現在、茨木工場を含む3工場は子会社が運営しているが、今回の契約で直系の運営は2カ所となる。

茨城工場の業務委託の開始は2011年4月1日。茨木工場は新聞輪転5セットの設備を備え、関西図書印刷は年間39億円の売り上げを見込む。これにより、神戸、京都と合わせて、3工場の来12年3月期の年間売り上げは80億円程度となる。

国内の印刷業は、出版不況や顧客企業の広告費削減の影響で苦戦が続いている。図書印刷も、主力の出版印刷が低調で、前10年3月期は営業赤字を計上。人件費や物流費などコスト削減を進めているが、今11年3月期も業績回復の途上にある。

「現状では、出版印刷など既存の印刷事業の収益を大きく増やすことは難しい。その中で、安定した収益が見込める新聞印刷事業を拡大できた。地理的にも近い他の2工場と併せて一体管理することにより、より効率的な運営をすることもできる」(常務取締役財務本部長・近江屋喬氏)という。

出版不況による雑誌、書籍の減少は印刷各社共通の課題であるが、出版印刷中心の図書印刷にとって、その影響は少なくない。今回の新聞印刷業務の拡大が、どこまで来12年3月期の収益に貢献できるかが注目される。
(島 大輔 =東洋経済オンライン)


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
連本2010.03  59,387 -257 57 -1,101
連本2011.03予 59,400 380 580 230
連本2012.03予 62,000 450 650 280
連中2009.09  28,045 -829 -552 -798
連中2010.09予 27,500 -600 -450 -550
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
連本2010.03  -12.8 0 
連本2011.03予 2.7 2 
連本2012.03予 3.3 2 
連中2009.09  -9.3 0 
連中2010.09予 -6.4 0 
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