被害はどこまで拡がる? 東京地検特捜部が日本中油事件で柴野多伊三・元衆議院議員らを再逮捕【東京地検臨時会見】

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被害はどこまで拡がる? 東京地検特捜部が日本中油事件で柴野多伊三・元衆議院議員らを再逮捕【東京地検臨時会見】

東京地検特捜部は10月14日夜に臨時記者会見を開き、10月8日に起訴していた元衆議院議員の柴野多伊三氏(59歳)ら、日本中油の会社役員2人を再逮捕したと発表した。再逮捕されたのは日本中油代表取締役の柴野容疑者のほか、同社取締役の清水大作容疑者(40歳)。

現在も開設されたままの日本中油のホームページ(HP)によれば、日本中油はバイオディーゼル会社。PAO(パームアシッドオイル)やジャトロファといった植物由来のバイオマス燃料の開発・製造・販売会社で、燃料の燃焼時に発生する二酸化炭素量は燃料の基となるPAOやジャトロファの生育時に吸収されることから地球環境に優しいというのが売り。

アフリカのリベリア、ガーナ、コートジボアールにて、ジャトロファ栽培用の土地1200万ヘクタールの取得を中国開発銀行と遂行、広西省柳州市でジャトロファの品種改良苗を育成し中国政府の支援のもと、100万ヘクタールのジャトロファ栽培地の開墾プロジェクトに参加。インドネシアでジャトロファ栽培用の土地150万ヘクタールの開墾事業と合わせて流通機構を構築するためのFTZプロジェクトに参画などと同社HPに書いてあるが、東京地検特捜部の調べによれば、2009年8月4日の日本中油設立以来、日本中油に事業活動の実態は認められない。

両容疑者は設立時の日本中油への架空出資やその後の12億円の架空増資による「電磁的公正証書原本不実記録等供用」ですでに起訴されているが、今回の容疑は詐欺罪。
 
 特捜部が発表した「被疑事実の要旨」によれば、柴野容疑者と清水容疑者は、知人らに日本中油株の購入を勧誘させていた。10年2月頃には両容疑者が共謀して長野市内で講演会を開催。講演で「日本中油株は年内に確実にシンガポール証券取引所に上場される」などと嘘を言い、日本中油株の購入を勧誘。2月~7月の間に日本中油株を講演参加者のうち十数人に計900万円で日本中油株を販売した。

他の被害事例や被害総額について、会見に臨んだ東京地検特捜部の捜査担当者は「現時点ではお答えしかねる」とした。「7月の選挙資金に使ったのではないか」との質問にもノーコメントを貫いたが、被害総額は10億円以上と見られ、その一部が選挙資金に使われたのではないかと疑われている。
(山田 雄一郎 =東洋経済オンライン)

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