産業天気図(食品業界) 消費不振やデフレ響く、収益回復は一部企業にとどまる

食品業界はデフレ傾向によって、売り上げが伸ない状況が続いている。各社とも原材料費の削減など合理化を進めるが、他業種と比べて収益の回復は小幅になりそうだ。また、記録的な冷夏は、酒類や飲料メーカーにとって思わぬ誤算となっている。新商品やヒット商品によって業績が好転するところもあるが、総じて収益は伸び悩んでいる。
 味の素は、海外で化学調味料や飼料用アミノ酸が伸びて連結経常利益は17%増を見込む。国内向けの食品は、価格低下や競合品との競争で他部門と比べて伸びは小幅にどとまりそうだ。日清製粉グループ本社は、製粉価格が下がっているが家庭用食品や健康食品で新商品が伸び、連結経常利益は11%増を見込んでいる。
 乳業トップの明治乳業や2位の森永乳業の連結経常利益は、ほぼ前期並みにどとまりそうだ。ヨーグルト類の好調が続くが、冷夏により飲料やアイスクリーム類の売上げが落ち込みそうだ。
 一方、雪印乳業は、市乳部門の分離(日本ミルクコミュニティへ事業譲渡)などの一連のリストラがほぼ終わり、今2004年3月期の予想連結経常利益は60億円で前期の267億円の損失から大幅に回復する。
 酒類、飲料メーカーも冷夏が打撃となっている。とりわけビールメーカーは、発泡酒の値上げによってこれまで順調に成長してきた発泡酒市場の変調に苦慮している。
キリンビールは、今期2003年12月期までのビール・発泡酒の販売数量を6%減と見込む。原材料や販売経費の削減によって連結経常利益は3%増を確保する。
 アサヒビールは、ビール・発泡酒の販売数量は3%減を見込んでいる。営業外収支の改善によって連結経常利益は4%増となるが、営業利益は5%減の見込みだ。
 発泡酒市場は8月までに4カ月連続でマイナスとなり、ビールからの代替需要として販売数量を伸ばしてきたこれまでの構造が崩れている。ビールは7、8月と前年同月比で二桁減と大幅な落ち込みだ。ただ、9月に暑さがぶり返したことから、業界では消費の反転を期待している。ビール酒造組合による9月の出荷数量は10日に公表される予定。
 飲料メーカーも収益は厳しい。コカ・コーラボトラーのうち、最大規模のコカ・コーラウエストジャパンは、今期の販売酢量を0.8%と想定しているが、実際はこれを下回りそう。退職給付会計の変更によって退職給付費用が減ることから連結経常利益は増益となるが、その要因を除くと減益となる。ほかのコカ・コーラボトラーの販売数量も2~3%程度は落ち込みそうで、利益は横ばいか減少がほとんどだ。
 逆に、業績が大きく好転するのが、アサヒ飲料。経常利益は(非連結)が前期に49億円の経常損失だったが、今2003年12月期は12億円の黒字に浮上する。缶コーヒー「ワンダ モーニングショット」が好調なためだ。
【長谷川隆記者】

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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