生き残るのはどこか 『本当に強い大学』2010年版

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私立大だけではない。国立大も04年度の独立法人化後、大学運営の基盤となる国からの運営費交付金が、毎年1%ずつ削減されてきた。11年度の概算要求では前年度当初予算比2・8%増となっているが、中身を見ると「要求額」は同4・8%減。今年度から設けられた「要望額」を加えて、初めて増額となる。「要望額」は公開の場で優先順位を決定する「政策コンテスト」で配分が決まることになっている。

18歳人口が安定して推移している今こそ、大学改革を加速させなければ、再び訪れる18歳人口=市場規模の縮小局面で生き残れない。今や、「役に立つ」「面倒見がよい」というのが、学生に魅力を感じてもらえるキーワードだ。高校から大学への接続をスムーズに行うための入学前教育や初年次教育、学習・生活支援、そして就職という最終的な“出口”を見据えたキャリア支援。大学が取り組むべき課題は幅広い。

さらに今後、ますます重要になるのが情報公開だ。大学の厳しい経営環境を知って、高校生、加えてその保護者が大学の財務内容に関心を持つようになった。

さらには、大学の「質保証」のため、教育に関する情報公開を促すことが中央教育審議会で議論されてきた。その結果、教育研究上の目的などの項目の情報公開が義務づけられた。今回は努力目標になった項目を含め、どれも高校生や保護者にとっては、当然知りたい情報ばかり。単に情報公開するだけでなく、その内容の充実度が問われることになる。

大学改革を加速させ、その成果を積極的に発信する。それこそが「本当に強い大学」への道だ。

週刊東洋経済2010年10月16日号(2010年10月12日発売)の特集『本当に強い大学 2010年版』では、教育、財務、就職などさまざまな観点から大学の最新の総合力を徹底分析した。
(週刊東洋経済編集部 撮影:梅谷秀司)


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