《プロに聞く!人事労務Q&A》短時間勤務の正社員の労働条件を変更してパートタイム労働者として働いてもらうことは可能ですか?

《プロに聞く!人事労務Q&A》短時間勤務の正社員の労働条件を変更してパートタイム労働者として働いてもらうことは可能ですか?

 

回答者:鈴木社会保険労務士事務所 鈴木ひろみ

質問

 弊社には育児休暇取得後に復帰した女性社員A(32才)がおります。正社員の通常勤務時間は8時間ですが、現在Aは6時間の短時間勤務です。 本年中に子供が3歳になり短時間勤務の期間は終了しますが、家庭内の事情で8時間勤務に復帰することは難しいようです。
Aには退職してもらうしか選択肢はないのでしょうか?もし、いったん退職した後に、6時間勤務のパートタイム労働者として再雇用した場合、問題が生じますか?(サービス業・総務)

回答

労働者との労働契約の解除(退職、解雇等)は最終手段と考え、会社としては、労働者の意向も踏まえ他に方策はないか検討してみましょう。

引き続き短時間勤務制度を利用させる

育児介護休業法では、3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に対して(1)育児休業に関する制度、(2)所定外労働の制限に関する制度、(3)短時間勤務制度、(4)始業時刻変更等の措置に準じて、必要ないずれかの措置を講じるよう努めなければならないと規定されています。

つまり、3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に対しても、引き続き短時間勤務制度等を講じるよう努力義務が課されています。

当該女性労働者も短時間勤務制度を利用できるのであれば、会社で働きたいと希望しており、会社としても労働者に短時間勤務制度を利用させても構わないと考えているのであれば、3歳以降も引き続き短時間勤務制度を利用させて、働いてもらってもよいのではないでしょうか。

現在、会社の育児介護休業規程では、短時間勤務制度の利用は3歳までと規定されていると思いますので、3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者にも短時間勤務制度を利用できる規定を追加整備しましょう。

なお、少なくとも小学校就学の始期に達するまでの子(常時使用する労働者の数が100人を超えない小規模事業主においては少なくとも3歳に達するまでの子)を養育する労働者が利用できる短時間勤務制度を労働協約または就業規則に規定し、労働者がこれらの制度を連続して6カ月以上利用した事業主に対して「育児・介護雇用安定等助成金」が支給される場合があります。こちらの助成金についても検討してみてください。

労働条件自体を見直す

労働者がどうしても8時間労働は難しい、会社も短時間勤務制度を導入するのは難しいという事であれば、現在の労働条件を見直して雇用を継続する方法もあります。

正社員として働くのを辞め、パートタイム労働者等の区分に変更して働く方法等です。

労使が合意すれば、労働条件の変更は法的に問題ありませんので、当該労働者が、パートタイム労働者でも構わないという事であれば、労働者としての区分を変更しつつ労働条件全体を見直し、短時間勤務で雇用を継続していきます。この場合、退職手続きを取らずに労働条件を見直すだけで済みます。

なお、パートタイム労働者で働く事を含め労働条件の見直しについて、労働者との合意に至らなかった場合は、労働契約の解除もやむを得ないでしょう。

鈴木ひろみ(すずき・ひろみ)
東京都社会保険労務士会所属。法政大学法学部法律学科卒業。東映CM入社。TV-CMの製作進行、プロダクションマネージャーとしてTV-CMの企画・製作を担当。その後、ファッション雑誌編集者を経て、1995年に鈴木社会保険労務士事務所を開設。著書に「どうなるの?わたしたちの労働環境」、「得する年金損する年金 図解新年金制度」など。


(東洋経済HRオンライン編集部)

人事・労務が企業を変える 東洋経済HRオンライン

 

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