省エネエアコン使用で電気代10万円超の差 上位機種が席巻、購入価格は上昇する傾向

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省エネと多機能化がエアコン価格を引き上げ(撮影:尾形文繁)

エアコン価格が2012年後半からじわりと上がっている。家電の市場調査などを行うリックによると、エアコンのチラシ平均価格(8畳以下向けの小型から16畳以上向けの大型まで含む)は、11年後半から10万円前後で下落傾向だった。だが、12年の後半を境に価格トレンドは反転、11万5000円を超える水準になった。

11年後半の価格下落前に価格が一時急上昇したのは、11年3月末での、エコポイントの終了に伴う駆け込み需要の影響だ。当時は、省エネ性の高い家電の購入でポイントが付与され、商品券などと交換できた。この制度により、省エネ性能が優れている高級機種の購入を勧める動きが広がって一時的に価格は上昇したが、その後は下落した。

12年後半からの価格再高騰の大きな要因は、東日本大震災を契機として、消費者の節電意識が高まったことが挙げられる。原子力発電所の稼働停止を受けて電気代が上昇し、省エネ性に優れた高付加価値のエアコンが選択されるようになった。

長期使用なら省エネのエアコンが安上がり

エアコンは設置工事が必要なことから、買い替え頻度は高くない。内閣府の消費動向調査によると、13年4月~14年3月にエアコンを買い替えた世帯の平均使用年数は、10.6年だった。長年使用する間の電気代などを考慮すると、初期投資が大きくても省エネ性能に優れたエアコンのほうが最終的に安上がりになる。

電気代はエアコンによって大きく差がつく。たとえば冷房能力4キロワット(11~17畳用)で比較してみると、経済産業省の省エネ目標基準を軽くクリアしている機種は、年間の電気代が約2万4800円だ。一方、省エネ目標基準をギリギリクリアする機種の年間電気代は、約3万6000円。年間で1万円以上違う。10年間使用した場合、トータルの電気代は10万円以上開く計算になる。

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