東京を「最先端のクリエイティブ・シティ」に

「イノベーション・シティ・フォーラム」が問うもの

10月8~10日、虎ノ門ヒルズで行われたICF2014の様子
Innovative City Forum(略称:ICF)は、「都市とライフスタイルの未来を描く」をテーマに掲げ、2013年10月に初回が行われたコンベンションイベント。「先端技術」「都市開発」「アート&クリエイティブ」の3カテゴリーの専門家を集めて、新しい都市のあり方を議論していく場だ。
10月8~10日に虎ノ門ヒルズ(東京都港区)で行われた第2回目の「ICF2014」は、「2025年グローバル都市のヴィジョン」「創造都市の形成」「都市におけるアートの未来」などさまざまな角度からのプレゼンテーションとパネルディスカッションが行われた。イベントの主催者である森美術館の南條史生館長に、「東京の都市づくりに求められているもの」を聞いた。

都市開発には「クリエイティブ」の視点が不可欠

南條史生(なんじょう ふみお)●森美術館館長1949年東京生まれ。1972年慶應義塾大学経済学部、1976年文学部哲学科美学美術史学専攻卒業。近著に「疾走するアジア~現代美術の今を見る~」 (美術年鑑社、2010年)、「アートを生きる」(角川書店、2012年)。(撮影:今井康一)

――ICFはゲストも多彩、内容も多彩です。さまざまなテーマが集まっているように見えるのですが、コアのメッセージとはどのようなものでしょうか。

ICFでは先端技術、都市開発、ア―ト&クリエイティブの三つのカテゴリーを合わせている。この三つは切り離せないくらい密接なものだ。

そもそも「クリエイティブ・インダストリー」はイギリスが出した概念。それをアジアの国々が非常に早くキャッチアップして、その方向で国づくり、街づくりをやろうとしている。都市開発には、今やクリエイティブの視点が不可欠なのに、その認識が日本の場合にはまだ薄い、という懸念を持った。ICFのメッセージは、それに尽きると言ってもいいかもしれない。

――政府は、それなりにクリエイティブ・インダストリーへの支援を進めているように見えますが。

もちろん、「クールジャパン」もクリエイティブ・インダストリーに繋がっているものだが、これではちょっと狭すぎる。クールジャパンをみると、「日本が強みを持つソフトコンテンツを外国に輸出して稼ごう」という発想だ。もちろん、これはこれで意味のあることだとは思うが、「これからのクリエイティブとは何か」という問いが必要だと思う。その1つの答えとして、ICF2014で議論したものが「メディアアート」だ。

もちろんメディアアートが未来の創造産業だと言い切るつもりはないが、メディアアートによって可能になった、新しい社会とアートの関係を見ていきたい。テクノロジーとアート、街は全部つながっている。それを全体としてとらえないと、クリエイティブ・エコノミーのことはわからない。全体としてとらえる、というところにICFの意義があると考えている。全体ということでは、創造産業は本来、ほかにもデザイン、建築、ファッションなどすべてが入る。

――具体的に、東京はどのように変わっていくべきでしょうか。

今ここで火急の問題は、2020年の東京オリンピックだ。オリンピックに向かって日本が何を出していくのか。特にアーティスティックなことで何を出すかというときに、日本の得意なハイテク部分を使い、アートの未来を見せる必要があるんじゃないかと思う。

例えばロンドン五輪では開会式や閉会式のところで、有名な歌手や俳優が次々と出てきた。確かにイギリスには世界中の多くの人が知っているタレントがいる。では日本は誰を出すのか。世界中の人が知っている歌手がいるわけではない。もちろん著名な人もいるが、世界中の一般人が知っている作家がどれだけいるか。いったい誰を出せばいいのか、ということになる。

であれば同じように有名人を出すのではなく、新しいことをやればいい。メディアアートを使って、今まで見たことのないようなパフォーマンスイベントができるはずだ。例えばメインスタジアムの中で開会式が行われていて、そこにはさまざまなイベントが登場する。2020年には、世界の人たちがネットを通して、みんなこのイベントに直結して参加できるようにすればいい。スマートフォンの画面を押すと、それが伝わって会場が光るようにするなど、いろいろなことができる。これは日本の得意なテクノロジー分野をみせることにもなる。「スパイスガールズ」を出すイギリスよりも、もっと前に向かって進む日本、クリエイティブに強い日本、という強力なメッセージの発信になるだろう。

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