日本電産・永守社長、「片山氏獲得」を語る ターゲットは“モーター以外"の新市場

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片山氏は10月から日本電産の副会長兼CTOになった(撮影:ヒラオカスタジオ)

永守社長がその技術全体の司令官として、白羽の矢を立てたのが、シャープ元会長の片山幹雄氏である。片山氏はシャープでの経営者や技術者としての実績を買われ、10月から日本電産の副会長兼最高技術責任者(CTO)に抜擢されたのである。

同氏招聘の理由について、永守社長が公の場で語ることは少なかったが、今回の会見では期待を込めて、こう語った。「製品のソリューション提供には、先行開発が重要。誰かがその技術を作って、融合させなければいけない。片山さんには先行開発の最高責任者になり、グループ全体の技術の融合を図ってほしい」(永守社長)。

ただし、片山氏はシャープ社長時代、大型液晶パネルの巨額投資で経営危機を招いたほか、自らが率いてヒット商品を出した実績も乏しく、社内の技術者からは「製品センスがない」と酷評されていた経緯がある。

これまで数々のM&Aを成功させ、町工場を1兆円規模にまで育てた永守社長の人物の鑑識眼には定評がある。日本電産が狙う“新ビジネス”の司令官として、片山氏は適任なのか――。その解に向けて、CTOとしての手腕が今後試されることになる。
 

許斐 健太 『会社四季報 業界地図』 編集長

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このみ けんた / Kenta Konomi

慶応義塾大学卒業後、PHP研究所を経て東洋経済新報社に入社。電機業界担当記者や『業界地図』編集長を経て、『週刊東洋経済』副編集長として『「食える子」を育てる』『ライフ・シフト実践編』などを担当。2021年秋リリースの「業界地図デジタル」プロジェクトマネジャー、2022年秋より「業界地図」編集長を兼務。

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