逆風でも強気の高価格 任天堂「3DS」の賭け

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 新機能のほかにも、3DSの販売を後押しする要因がある。まず、発売と同時期に人気ソフトがズラリとそろう。任天堂は『nintendogs』などヒットタイトルの新作を投入する計画。ソフトメーカーからも、『ストリートファイター』(カプコン)や『ウイニングイレブン』(コナミ)など大型タイトルが発売される予定だ。「ラインナップを見ると、ゲームファンにとって非常に魅力的」(岡三証券の森田正司アナリスト)。

また、オンラインゲームの台頭も任天堂にとってはプラス要因。従来ゲーム機のユーザーを奪う敵にも見えるが、カジュアルユーザー(=ゲーム初心者)を取り込んでいるため、「ゲーム人口の拡大」を標榜する任天堂とは市場を拡大する同志ともいえる。

任天堂の2011年3月期は販売苦戦と円高が響く。3DSの発売がクリスマス商戦に間に合わなかったこともあり、2期連続の減益となる見通し。中期的にも「従来のパッケージ型モデルは長くは続かないかもしれない」(ゲームジャーナリストの新清士氏)との見方さえある。

悲観論を吹き飛ばす切り札として3DSが投入されるが、任天堂には新しい世界観を持つソフトを提案することで、大きな“うねり”をつくりだすことが求められる。
大ヒット製品「DS」の最新機種は、新たな潮流を生み出す可能性を秘める。

■任天堂の業績予想、会社概要はこちら

(梅咲恵司 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2010年10月9日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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