人生なんて、案外簡単にパッと開けるものである くだらなすぎる「私の人生の目標コレクション」

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何しろ今や自転車生活だからヒールなど滅多に履かないのだし、これからは体を痛めつけてまで人目を気にすることはやめて、足の健康を優先して生きることにしようではないか!

で、これもいざ正面から真面目に取りくんでみれば、間違いなく人生をかけるに値する大事業なのであった。

足にやさしい靴を履くのはもちろんのこと、本当の勝負はそこからで、歩くときも立つ時も、足の小指をちゃんと使っているかどうかを意識しなければならないのである。そうしないと、長年染み付いた「つい指を浮かせてしまう」体のクセは絶対に抜けない。

もしかして「マインドフルネス」?

で、やってみればわかるが、普段軽視していたものを優先して考えるというのは、大げさではなく、人生のあり方をひっくり返してしまうほどの変化をもたらす行為なのである。

何しろわれらの人生は「考えなきゃいけないこと」で満ち満ちていて、仕事のこと、人間関係のこと、お金のことなど、心配事は次から次へと泉のように湧いてきて、脳ミソがいくらあったって足りない。

なのに、そうした「大事なこと」を全部ぐいと傍らに追いやって、いうてはなんだが「あってもなくてもどうでもいい存在」のようにも思える「足の小指」について優先的に考えるって、そんなことやったことある人がどれほどいるだろうか?

しかしこれまたやってみればわかるんだが、この「超無駄」としか思えないことが、やってみればなんというかバカバカしすぎて笑えてくるというか、なんとも頭が空っぽになる感じでめちゃくちゃ解放感があるんである。

もちろん、さすがに四六時中足の指のことを考えることはできないけれど、それでもいろんなことがうまくいかずにキーッとしてる時、ふと「そうだ足の小指……」と思い出すだけで、その瞬間は目の前の黒雲がさーっと晴れていくような感覚にもれなくとらわれるのであります。

いやこれって……いわゆる「マインドフルネス」ってやつじゃ?

確かに考えてみれば、頭より体に集中するというのは、古来修行の有効な方法として多くの宗教が実践してきたところである。あれこれと妄想を膨らませて次々と勝手に悩みや心配事を作り出していく「脳の暴走」を食い止めるには、今ここにある現実(体)に立ち返ることが一番有効なのだ。

で、私が思うに、その体の中でも「一番役に立ちそうにもない小さな部位」のことを考えるっていうのがいいんじゃないかと。何しろ腹とか脚とか「メーンの部位」のことを考えてしまうと、最近ハラが出てきたなとか、脚がむくんでるけどなんとかならないかみたいな現実的な考えがたちまち襲ってきて、再び脳が暴走を始めてしまう。

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