読める? 雲梯 徳次郎 埴生…増える「難読IC」 なぜ、IC/JCTに難読名称が付けられるのか?

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山武市は、2006年、山武郡の山武町、成東町、松尾町、蓮沼村の3町1村が合併して誕生した新しい市だ。ところが、合併前の読みは「さんぶ郡」「さんぶ町」であった。歴史的には「さんむ」と読むほうがふさわしいということで、合併時に由緒ある読みに変更している。

それならば、IC名も変更してよさそうに思えるが、ICの供用は1998年(当時は千葉東金道路のICとして設置)で、旧山武町と旧成東町への玄関として、その境界付近に両町の名を冠した名前で開業したのだ。

つまり、“山武市の成東にあるIC”ではなく、旧・山武(さんぶ)町と旧・成東町への玄関となるICということなので、経緯を考えれば読みを変えなくてはならない、とまでは言えなさそうだ。

ちなみに「成東」もほかにいくつも読みが考えられる名前だが、JR総武線と東金線の分岐駅として一定の知名度があるので、首都圏の人であれば誤読は少ないだろう。

JR成東(なるとう)駅(写真:KeijiAkiyoshi / PIXTA)

増加する「ひらがな」IC

こうした「難読」を解消する方策の1つが、漢字をやめてしまう、つまり「かな」で命名することである。近年は自治体名にもひらがな地名は増えてきているが、その自治体名に合わせた命名のほかにも、高速道路独自のひらがな名、あるいは漢字とひらがなの混在名が増えている。

例えば、山形県鶴岡市の日本海東北道にある「いらがわIC」。開業は2012年3月だ。

JR羽越線にも同じ駅名があるが、こちらは「五十川」と漢字で書いて「いらがわ」駅である。やはり「五十川」で「いらがわ」は難読だからか、ひらがな名での開業となった。

ちなみに隣の「あつみ温泉IC」もひらがなを使っているが、こちらはJRの駅名も「あつみ温泉」である。もとの漢字である「温海」を「あつみ」とはなかなか読んでもらえず、観光客誘致にも、ひらがなの方が親しまれるからであろう。

JRあつみ温泉駅(写真:Shiryu / PIXTA)

鹿児島県には「きららIC」がある。鹿児島空港と阿久根市を結ぶ北薩道路のIC名で、こちらは周辺に同様の地名は見当たらず、「きらら公園」「きららの里公園」という施設があるのみで、由来を知るのは難しい。少なくとも難読対策ではないIC名である。

地名とは無関係のイメージ的な地名として、ほかにも「まほろば」を組み込んだ「朝日まほろばIC」(日本海東北道・新潟県)、「大和まほろばスマートIC」(西名阪道・奈良県)がある。

「まほろば」は、「古事記」にも登場する「素晴らしいところ」というような意味合いで使われる古語で、その優しい響きもあって、命名に際し使われがちな言葉であることは理解できる。

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