マンダム対資生堂:スタイリング剤ガチンコ勝負はどこへ行く!《それゆけ!カナモリさん》

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■資生堂とマンダム

 男性用整髪剤市場は年間300億円を超える。マンダムがヘアワックスを中心に、40%以上のシェアを握り、資生堂のシェアは20%程度だった。状況が一変したのは、昨年8月。資生堂が満を持して、新製品を発表してからだった。

 髪にボリュームを持たせたり、流れを付けたりと、ワックスによる高い自由度で髪型を作り込むことが若年男性層の主流であった昨夏。ムービングラバー、テクニカルデザインクレイ、パーフェクトホールドワックスなど万全のギャッツビーラインナップを持つマンダムに、「作り込みすぎのヘアはもう古い」と自然なスタイル提案と共に、ベタつきのないミストタイプの「フォグ バー」で資生堂が戦いを挑んだのだ。

 イケメン四天王のCMだけでなく、フォグバー専門営業部隊を社内に組織し、量販店などに積極的に売場提案を行い、店頭販売促進も強化した。有名ヘアサロンを巻き込んでのPR活動も行うなど、「コミュニケーション・ミックス」を最大化したのである。その甲斐あって、1カ月で1年分の販売目標240万本を売り切る大ヒットを記録し、販売直後には、一時的にマンダムを抜いてシェアトップを奪取。日経MJヒット商品番付2009の西前頭4枚目にも列せられた。

 対するマンダムは、同様のミストタイプ、「ギャッツビークイックムービングミスト」を今年2月に投入した。ボトルをひねると「カチッ」とプッシュノズルが頭を出すパッケージに工夫を凝らしたが、中味はベタつきを抑えたミストで、「何度でも直せる」というフォグバー同様の訴求点。ヘアサロンのアーティストをWebサイトに登場させ使い方指南をさせるという、これも同様の手法を展開した。つまり、これはリーダー企業からの「同質化戦略」である。

 ギャッツビーの幅広いラインナップで販売店の棚で面展開のできるマンダムは、フォグバーと同質化したミストタイプの商品を消費者の手に取らせることも可能だ。そして、ヘアの作り込みが自由にできる反面、如何せん手がベタつき、洗髪も1度で足りないというユーザーの不満解消もできる。しかし、それは資生堂「ワックスにさよなら」といっていたコピーを体現することになる。

 資生堂が仕掛けたのは、チャレンジャーがリーダーに対して行う「理論の自縛化」である。リーダー企業が発信してきたのと矛盾するメッセージで、同質化できない差別化を図るのだ。有名な例では、かつてのキリンビールとアサヒビールがそれだ。「ラガービール」で、ビールの「コク」や「旨味」を訴求してきたキリンに対し、それに反する「ドライ」「キレ」という新たな価値観をアサヒが持ち込み、1987年に「スーパードライ」を発売。翌年、ビール各社同様、キリンも「ドライ戦争」に突入したが、消費者には受入れられず、首位の座を明け渡すことになったのである。

 2010年4月10日付週刊ダイヤモンドの記事「『新整髪剤』でマンダムを圧倒 資生堂悲願のシェア奪取なるか」では、最近は共に30%前後の水準で、ほぼ拮抗していると、ついに資生堂がマンダムを射程圏内に捉えたことを伝えている。戦いは、いよいよ第2ラウンドに入った。
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