人気化する「週休4日」の“ゆるい就職” 夢の働き方か、単なるリスクか?

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まだ将来を絞れない

派遣労働者などでつくる労働組合、派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は、「ゆるい就職」の危うさを指摘する。

「月15万円では生活は非常に厳しく、低収入が問題となるおそれがあるうえ、社会保険にも入っていない状態が続くのは危険だ。企業は社会保険の費用などによる負担増を避けたいはずで、ゆるい就職を選んだ若者はそのままの状態にとどまることを強いられ、企業に都合よく使われるリスクがある」

日本的終身雇用システムが崩れつつある一方、新卒一括採用の網から漏れたら待っているのはワーキングプア、という状況は大きく変わってはいない。応募者の一人で、女優としても活動する相川瑞紀さん(25)は揺れる胸の内を明かした。

「今後、女優業以外に関心が向くかもしれないし、いろいろなことに挑戦したい。今は将来の道を一つに絞れない。自由がある分、“痛み”も仕方ない」

若新さん自身、万人向けでないことは認めている。

「新卒でフルタイムで働く正社員になれないと、十分に稼げる仕事に就けず、“落ちぶれている”と見られてしまうのが日本の現実。社会が複雑化した今、30代前半くらいまではモラトリアムがあってもいいのではないか。“ハミ出しているけど有能な人”にとって、ゆるい就職が一つの選択肢になればいい」

(AERA編集部:庄司将晃)

※AERA 2014年10月27日号

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