500円の「コロナ保険」、感染急増で値上げの大誤算 損保ジャパンが近く値上げ、販売停止の動きも

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PayPayのコロナ保険も保険料引き上げに追い込まれた(編集部撮影)

全国で日々10万人前後の新規陽性者数が確認されるなど、いまだ感染拡大の勢いが衰えない新型コロナウイルス。保険各社が昨年投入したコロナ保険が相次いで保険料の大幅値上げや販売停止に追い込まれている。

週内にも保険料の値上げを検討しているのは、SOMPOホールディングス傘下の損保ジャパンだ。スマートフォン決済「PayPay」(ペイペイ)のアプリ上で、2021年12月から「コロナお見舞金」保険を販売しており、加入者はわずか1カ月半で20万件を突破した。

同保険は、医師にコロナと診断されたら5万円のお見舞金を支払う保険で、保険期間が3カ月の場合、保険料は500円と割安なことで支持を広げていた。

感染爆発で保険収支が悪化

損保ジャパンの狙いは、約4500万人のペイペイユーザーに向けて、コロナお見舞い金保険をきっかけに、1日自動車保険などの併売につなげることだった。当初からコロナ保険単体での収支悪化は織り込んでいた。

しかし、足元の感染爆発によって収支悪化リスクが想定以上のスピードで増大していることから、保険料値上げに踏み切る方針だ。ペイペイの関係者によると、「保険料は2倍以上になる見通し」という。

コロナ保険をめぐっては、第一生命グループの第一スマート少額短期保険が2021年9月に販売を一時停止したほか、直近では日本生命グループの大樹生命保険がコロナをはじめ各種感染症で入院すると10万円の一時金が受け取れる「おまもリーフ」を2月4日から販売停止している。

第一スマートの場合、感染拡大の状況に応じて保険料を機動的に変更する仕組みにしている。今年1月までは890円で販売していたが、第6波の影響を踏まえて2月1日から4倍超となる3840円に保険料を引き上げている。

医療従事者をはじめとしたエッセンシャルワーカーへの支援策として販売を開始したコロナ保険。コロナの感染爆発によって想定の甘さが浮き彫りになり、軌道修正を迫られた格好だ。

中村 正毅 東洋経済 記者

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なかむら まさき / Masaki Nakamura

これまで雑貨メーカー、ネット通販、ネット広告、自動車部品、地銀、第二地銀、協同組織金融機関、メガバンク、政府系金融機関、財務省、総務省、民生電機、生命保険、損害保険などを取材してきた。趣味はマラソンと読書。

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