45%の企業が、「110円超」での政府介入を希望 ロイター企業調査、為替安定へ対応期待

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 10月20日、10月ロイター企業調査によると、企業は現状の為替水準での安定が何よりと考えており、円安・円高両方向への大幅な振れには為替介入などの対応を望んでいることが明らかとなった。都内の外為取引会社で9月撮影(2014年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 20日 ロイター] - 10月ロイター企業調査によると、企業は現状の為替水準での安定が何よりと考えており、円安・円高両方向への大幅な振れには為替介入などの対応を望んでいることが明らかとなった。

円高対応力は企業によりまちまちだが、円安方向についての限界は120円までに集中。110円を超す円安には45%が政府に何等かの介入を求める必要が出てくると回答。120円超の円安には9割弱の企業が介入を希望している。

この調査はロイター短観と同時に同じ対象企業(資本金10億円以上の企業)に実施。調査期間は9月30日─10月14日。回答社数は400社ベースで260社程度。 

今後1年間のレンジ、100─110円の予測が6割

「円安にしろ円高にしろ急激な為替変動は避けてほしい」── 円安の悪影響は業種により異なると言われているが、実際には輸送用機器や電機、機械など、円安によって円建て輸出収益にメリットが出る加工型産業でも110円程度のドル円相場からの大きなかい離は望んでいない。

「大きくぶれないことがビジネスの安定につながる」(機械)、「輸入品や電気代の高騰が気がかりになっている」(輸送用機器)、「あまり円安が進むとマイナス効果もある。政府は相場感を持って対処してほしい」(電機)といった声がほとんど。加工型業種の合計では、110円超での為替介入を求める声が41%に達し、120円超まで円安が進行すると、88%の企業が介入を望む結果となった。

円安が輸入コストに響く非製造業でも、それほど大きな違いはない。110円を超える水準では47%の企業が介入を望み、120円超では89%に増える。

業種にかかわらず、足元の為替相場が安定することが企業には何よりの処方箋となることが明らかで、政府に対しては円安・円高のメリットを論じるよりも相場変動を回避する対応に期待が集まっている。

今後1年間のドル円相場の見通しは、100─110円程度との回答が59%、110─120円程度が35%を占め、このレンジからはずれないことが企業にとって安定した事業展開の前提になる。

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