【産業天気図・自動車】政策需要で足元活況も円高が業績のブレーキに。来春以降は「曇り」に後退

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10年10月~11年3月 11年4月~9月

自動車業界は足元「晴れ」だが、11年4月以降は「曇り」になる見通しだ。雨雲の原因は円高である。

今10年3月期の主要自動車メーカー各社は、期初から大幅な増益を計画していた。だが、4~6月期は想定をさらに上回る好調となった。ダイハツ工業やスズキのように、4~6月の3カ月間の営業利益が4~9月期の営業益計画と同様または上回るケースもあったほどだ。ホンダは業績計画を早々と上方修正した。

好調の要因は新興国での新車販売が引き続き活況を呈しているうえ、米国市場も回復、さらに日本では新車購入補助金効果が販売の下支えとなったためだ。トヨタ自動車はじめ自動車メーカー各社の収益は08年秋のリーマンショック以前のレベルにはまだ回復していないが、一部の部品メーカーではリーマン前を超え過去最高益を叩きだすケースも相次いでいる。

ただここにきて、「円高」という大波が自動車業界を襲っている。各社、期初想定は1ドル=90円、1ユーロ=120円だった。

1円円高による営業利益への影響額はトヨタ自動車が300億円、ホンダが175億円、日産自動車150億円などと少なくない。ただ、今の85円前後のレンジなら業績的には“許容範囲”といえる。例えばホンダは4~6月期終了時点でホンダは1ドル87円、1ユーロ112円にそれぞれ前提を変更したが、同時に、業績予想を上方修正させたほどだ。

かねてから進めてきた現地生産強化やコスト削減によって「1ドル85円前提なら1クォーターで1300億~1500億円の営業利益は出る」(幹部)体質になってきている。4~6月期決算時点では上方修正しなかった他社も、業績上振れ余地は十分すぎるほどある。

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