産業天気図(卸売業−商社) 資源エネルギーや食料が堅調、株評価損などの一巡で大きく反発へ

総合商社業界では特に上位商社において、資源エネルギー関連が収益の牽引役を担う状況が続いている。原油取引など伝統的なトレーディングはもとより、海外におけるLNGや石炭、鉄鋼原料といった権益への投資が実を結んで利益面での大きな柱に育っている。また食料分野も安定的に利益を稼ぎ出している。ただ、近年のスーパーやコンビニへの積極的な投資戦略の効果についてはまだ見極めるまで時間を必要とする段階だ。
 一方、各社が一時期、注力していた情報産業分野は依然として底ばいの状態。機械分野は期末に引き渡しが集中する傾向があるため、現時点で判断するのは難しいが、各社とも後半にかけ順調に伸びるものと予想している。 
 総じて売上げ総利益は増勢にあるが、超低金利下での退職給付費用の増加に悩まされているケースが多く、営業利益の伸びは若干程度にとどまる。ただ、前期に集中した上場株式の評価損や固定資産の減損処理が一巡するため、税引前利益は大きく反発する見込み。さらに出資先企業のリストラ進捗や提携効果の発現などで持分法利益も増加して、純益が大きく伸びる。
 三菱商事は純益が初めて1000億円の大台に乗る見込みだ。日商岩井との鉄鋼製品部門の統合が寄与。石油関連取引の採算も改善するほか、アジアにおける製造関連など自動車部門も堅調に推移する。年金費用などで販管費が増えるが営業増益を確保する。さらに有価証券評価損など一時費用が一巡することで税引前利益が急回復する。
 三井物産は化学品の市況回復や機械情報部門での大型受注などが支えとなり、粗利益を伸ばす。退職給付費用が増えるものの、営業増益を確保する。航空機リースや海外化学品工場の減損処理、ネクストコム株式の評価損(持分)もなくなるため、純益は大きく反発する。
 住友商事は欧州におけるリース事業など、自動車関連ビジネスが好調に推移している。住商情報システムを軸に情報産業も健闘している。後半にかけて機電の大型案件も取り込める見込み。M&Aなどで販管費は増える傾向にあるが、営業増益を達成。有価証券評価損の一巡が大きく効いて純益は急反発する。
 このほか、伊藤忠商事は繊維や食料の堅調や株式評価損の一巡で純益が回復する。丸紅は低採算取引の縮小を継続。食料や紙パルプなどで着実に粗利益を積み上げ、若干ながら営業増益を達成する見込み。ただ、前期に一時費用が少なかった関係で純益は若干の増益にとどまる。
【高橋篤史記者】

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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