勃興インドネシアで日本車「激戦」火ぶた

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ザ・日本車天国 トヨタ、ダイハツ強し

インドネシアのGDP成長率は足元で6%台に回復。金融緩和の下、メーカーや販売店からの補助もあり、0~1%と低金利の自動車ローンが組める。これで売れないわけがない。年後半から来年に向け、利上げやガソリン補助金打ち切り、複数保有車への累進課税も予想されるが、どれも短期の影響にとどまるという見方で、関係者は一致する。

ジャカルタショーに先駆けて、日産はインドネシアでの生産倍増計画をブチ上げた。現地に駆け付けたカルロス・ゴーン社長はこう宣言した。「BRICsの次はここだ。5年後には100万台市場になる」。

インドネシアは極めてユニークな市場だ。トヨタ自動車を筆頭に、日系メーカーがシェア全体の何と95%を握っている。

親日感情だけではこれを説明しきれない。真相はジャカルタに来ればわかる。右を見ても左を見ても、走るのは3列シートのMPV(多目的車)ばかり。日産の木村氏が解説する。「インドネシアは伝統的に大家族主義だ。クルマを買う世帯は夫婦共働きでお手伝いさんや子守を雇い、週末には全員で仲よく買い物に出かける。お手伝いさんたちと一緒のクルマに乗りたがらないインドとは、そこが違う」。

日系メーカーは日本国内で3列シートのミニバンを数多く開発してきた。手頃で気の利いたMPVづくりはお手の物なのだ。

なかでもトヨタとダイハツ工業は現地進出が1970年代と早く、歴史的な強みがシェアに反映されている。トヨタのMPV「キジャン」は長らく車の代名詞的存在だった。最近ではダイハツが生産し、トヨタにOEM供給する「アバンザ」が大ヒット。ダイハツブランドでは「セニア」として売られるこのMPVが、市場の4割弱を占める。生産シェアではダイハツが5割を誇る“隠れた雄”だ。

インドネシアは中古車売買も盛んで、いい車なら3年落ちでも、元値の8割で下取ってもらえる。「耐久性に優れ、残価が高い日本車への信頼は厚い。中国や韓国勢が入る余地はない」(日産幹部)。

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