7割は課長にさえなれません 城 繁幸著

7割は課長にさえなれません 城 繁幸著

「知ってるか? もう40歳以上は課長に上げないんだってさ」

思わずドキッとするようなセリフが飛び交う、ストレートなメッセージ本だ。

好評を博した『若者はなぜ3年で辞めるのか?』、『3年で辞めた若者はどこへ行ったのか』の2作で日本型雇用への問題提起と個人のキャリア形成に言及した著者が、3部作の完結編として著したのが本書になる。

もはや転職では逃げられないし、ぶら下がろうにもその屋台骨すら存在しない。そこにあるのは「消化試合」という未来と、現状の雇用システムの矛盾というわけだ。

当然、そこに「希望」の2文字はない。

社会全体の構造に踏み込んでいるため、難解になりがちだが、巧みな比喩と平易な文章で書かれていて読みやすい。新書だが、図版やポイント整理によって要点が抑えられている点も大きい。

冒頭からは、架空の日本町を舞台にした寓話的なストーリーが進む。そこで登場する人物は、焦りを感じる30歳男性の派遣社員、ベンチャー企業に魅力を感じつつも大手に就職を決めた22男性の学生、二人目を産んだら退職を迫られる37歳女性の一般職。さらに、出世も昇給もストップしてしまう現実に愕然とする41歳男性の主任だ。

登場する誰かにシンパシーを感じると同時に、現代を覆う「生きづらさ」、「閉塞感」といったキーワードが重みを増して迫ってくる。

大企業の男性社員を頂点としたピラミッドを、江戸時代の身分制度やカースト制度を用いて、批判している点もおもしろい。歴史的に見ても、そのような呪縛にとらわれ、流動性を失った社会は必ず停滞するというのだ。

もちろん、いたずらに恐怖感と失望をあおるだけではない。エピローグでは「201X年」に訪れる、明るい未来についても示している。著者はそこで、具体的な改革ビジョンを提示する。新労働契約法が成立し、ガチガチに固まっていた社会が動き出す。そして、希望が生まれている。

現代に生きる人の必読書といえるかもしれない。

(フリーライター:小島知之=東洋経済HRオンライン)

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