「ほめる」より「認める」方が子どもは伸びる理由 ほめるから認めるに変換するポイント5つ紹介

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Point2 子ども自身の努力・工夫を認める

子ども自身ががんばった部分に焦点を当てて具体的に言葉にします。「結果」ではなく、「努力」や「工夫」をした過程に注目します。

たとえば、 
●「発表会まで一生懸命に練習していたね」
●「色んな絵の具を考えて使ったね」……

このように、具体的に伝えると「努力」や「工夫」を重ねるべきポイントが明確になります。誰かに言われてやった箇所でなく、自発的に取り組んだ箇所を認めると、自分で自分を認める力も育ちます。

Point3 子どもに聴いていい

子どもが何を工夫したり努力したりしたのかわからないことも多いでしょう。

そんな時は、子どもに聴いてあげてください。質問のポイントは、
 ①どんな気持ちだったのか、聴く
 ②どこをがんばったのか、聴く
 ③次はどうしたいか、聴く

「子どもの気持ちをありのままに受け取る」心構えで、耳を傾けましょう。特別なコメントや、評価、判断はいりません。子どもにとって必要なのは、うれしい気持ちや達成感を、大好きな親御さんに「共感してもらうこと」です。

たとえば、
●「工作を作るのに、どんなところをがんばったの? …そっか。粘土を細く伸ばしてネコのしっぽを作ったんだね」

など、子どもの言葉を繰り返すだけでも、「認める」、「共感」になります。

Point4 できなかったところは、伸びるところ
『スウェーデンに学ぶ「幸せな子育て」 子どもの考える力を伸ばす聴き方・伝え方』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

ほめるつもりだったのに、つい悪いところに目が行ってしまうことも、あるかもしれません。いきなり指摘すれば子どもが凹むのは親御さんもご存じのはず。そんな時は、できていないところイコール「伸びしろ」と考えてみてください。

子どもなりの努力やチャレンジの軌跡を、少しでも探して、それを認めた上で、

たとえば、
 ● 「計算の練習を一生懸命やったんだね。間違えたところはどうしたらよいと思う?」

などと自分で考えさせるのもよい方法です。

Point5 まるごと認める

いつも子どもを100%無条件に認める、なんてなかなか難しいものです。期待されることで人は伸びる、という面もあります。だからこそ。時折、意識して「子どもの存在をまるごと認める」言葉もかけてみてください。

「大好きだよ」「生まれてきてくれて本当にうれしい」など、心がこもっていれば何でもいいのです。

岸田 雪子 ジャーナリスト・キャスター・東海大学客員教授・日本発達心理学会員

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きしだ ゆきこ / Yukiko Kishida

早稲田大学法学部卒業、東京大学大学院情報学環教育部修了。日本テレビ報道局政治部・社会部記者を務めた後、ディレクターとして「真相報道バンキシャ!」「NEWS ZERO」の立ち上げを経験。キャスターとして「情報ライブ ミヤネ屋」「スッキリ」などのニュースコーナー、BS日テレ「深層NEWS」のMC、報道局解説委員を務める。独立後、現在はテレビ朝日系列「中居正広のニュースな会」などテレビ・ラジオの報道・情報番組にコメンテーターとして出演中。記者時代から20年以上にわたり教育課題や子育て政策を取材。一児の母。

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