投資助言会社のずさんな実態、金融庁が「名義貸し」「実態なし」の2社に異例のスピード処分

金融庁は22日、証券取引等監視委員会(証券監視委員会)の行政処分勧告を受け、投資助言・代理業を営む2社に登録取消の行政処分を下した。金融庁によると、勧告を受けて即日処分を下すのは極めて異例。悪質性の高い重大な法令違反行為等が認められたことから、今回の措置をとったという。

行政処分を受けたのは、神奈川県のライフケアバンクと東京都のソーシャル・イノベーションの2社。

ライフケアバンクは投資助言・代理業として2008年5月に登録。同社では、別の投資事業組合が無登録で未公開株の販売業務などを行っていることを知りながら、自社の従業員にもその業務に当たらせていた。さらに、投資助言業務の実績がないにもかかわらず、実績があるように偽った事業報告書を関東財務局に出していた。

一方のソーシャル・イノベーションは、金融商品取引法(金商法)で禁止されている無登録業者への名義貸しがあった。また、08年3月に適格機関投資家等特例業務に関する届出を行っていたものの、実際に販売していた9本のファンドに機関投資家の出資はなく、ファンド販売や運用は登録が必要な第二種金融商品取引業や投資運用業に該当するとされた(同社の登録は09年3月に行った投資助言・代理業のみ)。

いずれも勧誘を受けた一般投資家からの情報提供がきっかけで、証券取引等監視委員会の検査によって法令違反が判明した。現在、関東財務局に登録する投資助言・代理業の業者だけでも600近くある。金商法の規程に基づいて申請書類の要件を整え、500万円の供託金を支払いさえすれば、1人からでも投資助言・代理業は始めることができる。また、ソーシャル・イノベーションが行っていた「適格機関投資家等特例業務」は、商号や所在地など、法律で決められた項目を届け出さえすればよい。

つまり、業者にとっての開業のハードルはそれほど高いものではなく、当局から義務付けられているのも年度ごとの事業報告書の提出のみだ。10年度の証券監視委員会の検査基本計画では、投資助言・代理業や第二種金融取引業者などへの検査は、「随時実施」という扱いになっている。登録で増え続ける業者の運営実態を、網羅的に当局の検査でチェックすることは不可能だ。

今回は、不審に思った投資家からの情報提供によって、登録からわずか1~2年程度しか経たない業者のずさんな運営実態が明るみに出た。「極めて悪質」として厳しい処分を下したものの、不祥事の摘発は“後追い”にならざるを得ない状況にある。

(井下 健悟=東洋経済オンライン)

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