コロナ禍で深刻化「睡眠不足」が本当にマズい訳 睡眠の質を改善するにはどうしたらいいのか

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睡眠不足は、1979年のスリーマイル島原発事故、1986年のチェルノブイリ原発事故、1989年のアラスカ・エクソンバルディーズ原油流出事故など、ここ数十年で最大の環境災害の要因として挙げられている。

寝ているときよりも起きている時のほうがカロリーを消費するが、そこから予想され得ることとは裏腹に、短時間睡眠の人は長時間睡眠の人よりも体重が増える傾向があることが、いくつかの研究によって示されている。アイオワ州郊外の成人労働者990人を対象にした研究では、平日の夜の睡眠時間が短いほど、体格指数が高くなる傾向があることがわかった。

8歳から17歳の子供240人を対象にしたカナダの研究では、平日の睡眠時間が短いからといって、週末に長く寝て埋め合わせをしようとしても意味がないことが示されている。

睡眠時間の変動は、食欲を調節するホルモンに影響を与え、その結果、人は空腹ではないのに食べてしまったり、満腹中枢を越えて食べてしまったりする可能性があるという。ウィスコンシン睡眠コホート研究によると、時間睡眠が短い人は食欲を抑制するホルモンであるレプチンの濃度が低く、より多く食べるように信号を送るホルモンであるグレリンの濃度が高いことがわかっている。

さらに、週末にとれなかった睡眠を埋め合わそうとすると、空腹でもないのに食べたり、疲労の反動で食べたり、食べ物の視覚情報や臭いに過度に誘惑されてしまうといった事態を伴う。適切な就寝時間を過ぎても起きていると、特に栄養価の低いスナック菓子などを、より多く食べてしまう傾向が一般的にあると私からも断言できる。

「睡眠の質」を上げるための基本

より良い睡眠を得るために、専門家はさまざまなヒントを与えてくれている。そのいくつかを以下に挙げよう。

・午後遅くから夕方にかけてのカフェイン摂取や、就寝間際の重い食事は避ける。
・ 睡眠衛生に気をつける。毎日、規則正しくほぼ同じ時刻に寝起きする。
・ リラックスするためにアルコールを使用しないこと。温かいお風呂や瞑想を試してみよう。
・ 睡眠を妨げる光を発するコンピューターやタブレットでなければ、寝る前の読書は効果的である。
・ 外光が睡眠の妨げになる場合は、遮光性のカーテンやシェードを設置するか、アイマスクを利用する。騒音が気になる場合は、耳栓やホワイトノイズマシンが有効。
・ 場合によっては、夜間眠れない原因となり得る考えや行動に働きかける認知行動療法を検討しよう。
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