年始から波乱の株式相場、「バリュー株」に勝機 ハイテク成長株は軒並み失速、主役交代が進む

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最大のリスクはやはりアメリカ。11月の中間選挙では、下院の全議席(435議席)と、上院100議席のうち約3分の1に当たる34議席が改選される。

「低迷する支持率の回復を狙い、(バイデン政権が)中国に対しての強硬姿勢を強めるリスクがある」(中井氏)。アメリカ政府が中心となって検討していると報道された先端技術の輸出規制なども、日米の半導体製造装置関連株に影響を与える可能性がある。

民主党が中間選挙で敗北、上下院の多数を野党共和党に握られることが、直ちに株価下落につながるわけではない。しかし、戦後の大統領就任後2年目のNYダウの年間平均騰落率は+5.3%。1年目の+8.4%、3年目の+15.4%に比べて低く、アメリカの株高は当てにできそうもない。

また秋には中国で5年に1度の共産党大会が開催される。「3期目」の続投が確実視される習近平国家主席が「共同富裕」を旗印に社会主義的な政策を推進すれば、株式市場にはマイナスとなる。

「バリュー株」に勝機

一方、日本のリスクもくすぶっている。7月にも実施される参議院選挙では、現時点で60%台の支持率がある岸田文雄政権が敗北するとは考えにくい。だが参院選で勝利した場合、選挙まで「封印」したともみられる金融所得課税の強化などが再度浮上するかもしれない。

さらに日銀人事にも目配りが必要だ。2023年3〜4月には日銀の正副総裁の任期が期限を迎える。黒田東彦総裁の後任人事が取り沙汰される中で金融緩和政策の転換が一段と意識される可能性もあり、日本株に逆風となりかねない。

もっともアメリカを中心とした利上げは金融政策が正常化に向かう過程の出来事であり、経済が本格回復に向かっている証左だ。日経平均は昨年、結局3万円を維持できず2万8791円(20年比4.9%高)で終了したが、1年を通して見れば下値2万7000円台~上値3万円台を中心とする往来相場だった。年初から波乱となったように見えるものの、全体としてはなおこの範疇にある。

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