ドイツで急増する「パパ育休」--3歳児神話に勝った育児支援制度

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幼い子どもを預けて働く母親は、悪い母親を指す「カラスの母親」と呼ばれて非難されるなど、日本以上に世間の目が厳しい面もあります。

--具体的なドイツの取り組みは?

第2次シュレーダー政権の頃からドイツの家族政策は変わり始めましたが、2005年にドイツで初の女性首相となったアンゲラ・メルケル首相と、医師で7児の母でもあるウルズラ・フォン・デア・ライエン大臣の下で、新たな両立支援策が急ピッチで実行されました。                       

第一に、家族政策の方針を、従来の「子どもが小さいうちは母親が家庭で面倒を見る」といったものから、「共働きを前提に子育て家庭を支援する」ものへと転換しました。これは、家族政策のコペルニクス的転換とも言えるものです。

さまざまな施策の中で、特に成果を上げたのが育児休業中の給付制度の変更です。

従来、ドイツでは「育児手当」として子どもが生後24カ月になるまで月300ユーロ、もしくは生後12カ月まで毎月450ユーロを支給していましたが、新しい「両親手当」制度では休業前の賃金の67%、月に最大で1800ユーロが支給されるようになりました。

両親手当は両親が合計で最大14カ月受給できますが、一方の親が需給できるのは12カ月が上限で、両親ともに取得しない場合は2カ月分の受給資格が消滅してしまいます。つまり、父親の育児休業の取得を明確に意識した制度になっているのです。

--制度導入の成果は上がっていますか。

制度導入前の06年に取得された両親休暇のうち、父親によるものはわずか3.5%しかありませんでしたが、導入後は着実に父親の申請が増え、09年には18.6%まで急拡大しました。

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