ユニクロ、好決算に潜む一点の"くもり" 国内既存店は「エアリズム」などの牽引で順調

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また、仏ランジェリーブランド「プリンセス タム・タム」事業も冷夏で水着販売が振るわず減益となった。さらに米ファッションブランド「セオリー」事業も計画を下回り若干の減益となるなど、海外ブランドが軒並み苦戦した。

さらに低価格ファッションで伸びていた「ジーユー」事業も下期から販売にブレーキがかかり、在庫処分による値引きで採算が悪化して、2ケタ減益に落ち込んだ。その結果、Jブランドの減損損失計上などで、最終利益は前期比13.6%減の781億円となった。(注:ファーストリテイリングは前期から国際会計基準IFRSを適用。同基準では特損分が営業損益に含まれるため、営業利益は前期比2.8%減の1304億円と日本基準より低くなる)

今期も出足の9月は好調

2015年8月期も売上高15%増の1兆6000億円と強気予想を掲げた柳井正・会長兼社長(撮影:風間仁一郎)

2015年8月期については強気の計画を打ち出した。同日ファーストリテイリングが発表したIFRS基準での来期業績は、売上高が前期比15.7%増の1兆6000億円、営業利益が同38.0%増の1800億円、最終利益が同36.1%増の1080億円を見込む。

国内ユニクロ事業は既存店売上高が約3.5%増の前提。14年秋冬の新商品から順次、本体価格を平均5%値上げしており、客単価上昇を見込む。実際、9月は気温が低く推移したこともあり、客単価が前期比17.4%増となるなど出足は好調だ。

また出遅れていた子ども服も強化。紳士、婦人服に続く3本目の柱にする方針で、子ども向け商品数は約1.5倍の450品目に増やし、取り扱い店舗数も大幅に拡充する予定だ。

また海外ユニクロ事業は中国などアジアを中心に200店を出店し大幅な増収増益を予定。引き続き全体を牽引する目算だ。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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