ファミマ、環境悪化に加え積極出店も裏目 コンビニ3番手が一転減益に陥った理由

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もうひとつ、苦戦した要因は、果敢な出店による出店費用の増加だ。ファミマは将来のシェア獲得のため、「先行投資」として数年前から出店を加速。今期も当初は通期で1600店と、過去最大の出店を計画していた。今上期の出店数も過去最高の597店を記録したが、その分投資費用がかさみ、販管費は前年同期比で11.9%増加。これが利益を大きく圧迫する要因になった。

同社の1店あたりの建設コストは5200万円ほど。昨年度の4700万円よりも大幅にアップしている。敷金の増加などがその要因だという。中山社長は「想定内の数字」と前提を置きつつ、「(収益が出るかどうか)出店審査を厳格化する」と明言し、今期の出店計画を通期1300店に見直した。

コンビニ大手3社の国内店舗数(今第2四半期末)は、セブン-イレブン1万7013店、ローソン1万1987店、ファミマ1万1007店。業界3位のファミマは、09年にam/pmを傘下にして以降も、出店攻勢を継続。2位のローソンとの差を縮めようとしている。

「コンビニ=成長産業」の旗は降ろさず

ファミマは今後も「コンビニは成長産業」という見立ては変えず、来年度以降も積極的な出店は続けるとしている。同時にコスト削減策として人員の配置転換も進める方針。具体的には本部の社員を店舗の経営支援にあたらせることなどを想定しているという。

だが、コンビニ業界の激しい競争が落ち着く兆しは今のところない。来秋の再増税が予定どおり行われれば、消費者心理が一段と冷え込むことも考えられる。ファミマの「攻め」の姿勢が、将来大量閉店や人員削減につながらないか、まだまだ不安は尽きなそうだ。

田野 真由佳 東洋経済 記者

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たの まゆか / Mayuka Tano

2009年に大学を卒業後、時事通信社を経て東洋経済新報社に入社。小売りや食品業界を担当し、現在は会社四季報編集部に所属。幼児を育てながら時短勤務中。

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