日本振興銀行が債権者説明会を開催、預金者による混雑もなく会場には空席も

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 会場から出てきた60代の男性は、振興銀行の預金明細を見せてくれた。1年物、3年物、5年物など数種類の定期預金を保有し、合計金額3000万円。「強欲者って言われるかもしれないが、昔は金利が5%ぐらいの預金もあったし。3年物の定期が満期を迎え、ちゃんと利息も支払われた。それで安心していた」。

5月下旬、重大な法令違反等が見つかったこと理由に金融庁は振興銀行に行政処分を下している。「あの時、解約も考えましたよ。でも、7月に作家の江上剛さん(本名、小畠晴喜)が社長になりましたよね。彼は、旧第一勧業銀行出身でしょう。何とか立ち直ってくれるのかと思ったんだけど・・・」と悔やむ。

だが、実際は7月に自己査定マニュアルを見直し、貸出債権の見直しを行ったところ1500億円もの追加引当が必要となり、たちまち1800億円の債務超過に転落した。まともな査定では経営を持続できる状態ではなかったわけで、皮肉といえば皮肉な結末だ。

金融整理管財人の預金保険機構は、今後8カ月かけて貸出債権の資産査定を進める。高金利をウリにして5800億円の預金を集め、4000億円以上の貸し出しを行った日本振興銀行だが、その実態はまだ見えない。

(井下 健悟 撮影:吉野純治 =東洋経済オンライン)

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