東京五輪、全国100万人が外国人をガイド!? 日本の教育を変えるキーマン 遠藤利明(3)

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遠藤:日本人の場合、社会に出るのは、だいたい高校卒業以上となるのが大半。大学進学率も高いしね。社会に出たときにペラペラじゃなくていいから、片言でも恐怖心を抱かずに話せて、ある程度聞きとれるようになっていれば、必要な人は毎日使って学んでいくのだから、いいのかなと思っているんですよ。

このままでは英検は滅びる!? 4技能スコア化を急げ!

安河内:たとえば英検3級というような易しい級も、4技能を均等に試すスコア型のテストになれば、それに向かって励むことで、中学を卒業する時点で、多くの子どもたちが、海外に行っても買い物など簡単な用事が英語でできるというふうになるでしょう。

遠藤:英検はどの級までが2技能で、どこから4技能になるんでしたっけ?

安河内:現状では、5級、4級はリーディング、リスニングの2技能、3級、準2級、2級はリーディング、リスニング、スピーキングの3技能、準1級、1級はライティングも加わった4技能です。

ただ上の2つの級であっても、不均等な4技能なのですね。つまり、リーディングやリスニングの比重が大きくて、スピーキングはおまけのような感じになっているのです。だから今後は、たとえばですが、3000点満点で4技能を750点ずつというように均等なスコア配分にするようにしてほしいですね。そのように、関係各所からも英検に対して要請をしています。

英検が変われば――学生を中心に年間200万人以上が受験している巨大試験ですから、日本の英語教育に大きな影響を与えるでしょう。

英検側にもすでに進言しているのですが、今のままで何もしないままだと英検は弱小化していくと、私は思っているのです。ベネッセのGTECはCBT(Computer Based Test)技術を使って4技能型のテストの普及に力を入れています。競争相手の英検も変わらなければ。

遠藤:GTECの受験者数は?

安河内:3技能テスト(スピーキングはオプション受験)のGTEC for STUDENTSは、年間50万人以上が受験しています。4技能のGTEC CBTはTEAPと同じぐらいの難易度です。また、GTEC for STUDENTSも4技能化に取り組んでいます。このままGTEC が4技能試験として成長していくと、英検は押されていきます。ひとつの試験が独占状態になると、競争原理が働かなくなるので、ここで英検に頑張ってほしいところです。

理想は英検が全級で4技能均等のスコア化を果たし、GTEC CBT、GTEC for STUDENTSと競争し、4技能試験を一般化することです。競争相手としては、ほかにもTOEFL Junior Comprehensiveもあります。4技能試験の各レベルでひとつではなく複数の試験が競争し、精度がどんどん高まっていく。結果として、スケールメリットにより受験料が下がっていけばいいなと思っています。

遠藤:とにかく4技能の縛りを作っていくことが大事だよね。

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