スタバ・ジャパンCEOが語る、買収劇の舞台裏 米本社による完全子会社化で何が変わる?

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取引先も非常に前向きにやってくれているので、ありがたかった。どういう展開になるのかわからないので、もっと大変かと思っていた。自分のスケジュールを空けてやってきたが、意外と淡々としているという印象だ。

――今後の出店戦略に影響はないのか。

社員に強調したのは、1000店がチャプター1としたら、これから第2章が始まるということ。これまで「beyond 1000 stores(1000店を超えて)」という中期計画を作って、気づいたら1000店を超えていた。

出店目標もワンステップ上げて、それができるインフラ整備を進めてきた。今年度も出店計画(70店)を上回るペースになりそうだ。現在の出店戦略にネガティブ要素はない。来年夏には鳥取県にも初めて出店する。

ただ、全国制覇といっても、「東京でも江戸川区、荒川区にない」と言われる(笑)。今後の可能性はまだまだ問題ない。1500店か2000店かという数字ではなく、手応えを感じている。地方自治体から引き合いの声もある。

契約の"ゲージ"が取り払われる

これまでは米本社との調整に時間を取られてきた

――これまで米本社との関係性はどのようなものだったのか。

ライセンサーとライセンシーという関係を持つと、どこかで成長の形について一つの壁があると感じていた。ライセンシーである以上、分厚い契約書に縛られた中で成長戦略を描かざるをえない。

いつも米本社と調整するとき、これをやろうとしたらダメ、あれをやろうとしたらダメという。まるでゲージ(おり)に入っているようなもの。契約の中に項目がないので、覚書を作らなくてはいけない。プログラムをやるうえで、正直、だましだましやってきていたこともある。

――今回のTOBが成立したら、その関係も変わると?

足かせになっていた壁が取り払われる。11月には米本社があるシアトルでミーティングもあるので、現実的にどうやっていくかということを考えていきたい。

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