成長戦略会議が初会合、菅首相「法人税実効税率引き下げの検討」を指示

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成長戦略会議が初会合、菅首相「法人税実効税率引き下げの検討」を指示

政府は9日、総理大臣官邸で新成長戦略会議の第1回会合を開き、法人税の課税ベース(対象)の拡大や実効税率の引き下げなど経済対策の検討を始めた。

菅直人首相は冒頭、「バブルの崩壊から約20年間日本経済は低迷を続けており、閉塞状態をなかなか脱却できていない。その中で、6月に閣議決定した新成長戦略は、強い経済の実現を目指すもっとも重要な戦略である。私はこの新成長戦略を力強く実現することによって、企業の競争力強化や新産業創出を背景に、雇用を基軸として新たな経済成長を達成できると確信している」とあいさつした。

同会議で示された菅首相の指示によると、課税ベースの拡大などによる財源確保と併せ、法人実効税率の引き下げを2011年度予算編成・税制改正作業の中で検討していくほか、【1】雇用の増加に応じて、企業の税負担を軽減する雇用促進税制、【2】パッケージ型インフラの海外展開支援策、【3】今年11月に横浜で開催予定のAPEC首脳会合までにEPAに関する基本方針を定めることにしている。

また、10日にも発表が予定されている政府の経済対策に先立ち、野党5党は同日、共同で追加の経済対策を官房長官宛に提出した。自民党の場合、「政策総動員で“民主党不況”からの脱出」として、政府に対し、雇用確保対策や円高対策など総額約5兆円規模の補正予算を求めている。

一方、9日午後の記者会見で、池田元久財務副大臣は「財政運営戦略の中ではペイ・アズ・ユー・ゴー原則が述べられている。それを十分踏まえる必要があり、今後税制調査会で検討していきたい」と述べ、法人税減税分の財源確保の重要性を強調した。

また、野党5党による補正予算案については、「今後景気、雇用動向を踏まえて、必要な場合には補正予算の編成を含め、機動的、弾力的に対応することにしている。現在とりまとめ中の明日発表の経済対策を速やかに実施し、その効果を見極めることが先決」とし、野党などによる大規模な補整予算を求める動きを牽制した。
(写真は9月1日開催の代表選挙立候補者の共同会見時の菅首相)

山田 徹也 東洋経済 記者

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やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

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