セブン-イレブン、勝ち続けられる理由とは? 増税後も独り勝ち、鈴木敏文会長に聞く

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消費増税後、セブン-イレブンだけが既存店売上高で前年同月比プラスを維持している。
セブン-イレブン(以下、セブン)の独り勝ち――。日本フランチャイズチェーン協会の統計によると、コンビニ業界の既存店売上高は消費増税のあった4月以降、前年同月比でマイナスが続いている。一方、業界首位のセブンは4月も含め、一度もマイナスに陥ることなく、唯一プラス成長を維持している。10月2日に発表されたセブン&アイ・ホールディングスの中間決算では、半期ベースで過去最高益を達成している。強さの秘訣は何なのか。40年にわたって業界を牽引してきたセブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長兼CEOに直撃した。

 

――4月の消費増税後、消費者心理が冷え込んだとも言われている。

今、消費は飽和の状態。そこで値上がりがあるとやはり心理的な抵抗がある。だから新しいもの、食べる物ならおいしいものを作らなくちゃいけないということを昨年から言い続け、準備をしてきた。その結果、セブン-イレブンの既存店売上高はずっと昨年を上回っている。どういう施策をとってきたかで、同じ業界の中でも相当な差が出ているのではないか。過去の売り手市場だったときのように値下げだけでお客さんがついてきてくれることはもうない。

たとえば皆さんが着る服。別に今まで着ていたものが着られなくなったわけではない。でも新しいものが出ると買う。食べる物も、すべて同じこと。マーケットの変化にどう対応するかだ。ただ心理的には、消費増税には相当な抵抗感がある。だから売り上げが簡単にすぐ戻るものではない。新しいものを提供せず、従来のように値下げをしているだけだったら、戻らない。価格を下げたところがよかったという話は聞かない。

変わっているのはお客さん。それに合わせる

――ライバル各社も「新しいもの」を出していないか?

 出していない。形だけ新しくてもダメ。食べ物ならやはり食べてみておいしいこと。「新しいもの」には小容量で無駄が出ないという機能も含まれる。量を多くして価格を据え置くだけならば買われない。単価は多少上がっても無駄が出ないならば、それはある意味で「安さ」と言える。

 やはり基本が重要だ。たとえばセブンでは店を出すときにドミナント(一つの地域に集中して店を出す戦略。効率的な商品供給が可能になる)といって、密度を高くしながら出店してきた。全国制覇は重要ではない。基本を積み重ねていくことが大事。商品も、マーケットに合う商品をきちっと作れば伸びていける。同業他社ではなくて、お客さんが変わっていっている。それに合わせればいい。

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