セールスフォース、「日本が自立」の狙いとは? 中長期的な成長を睨んだ投資を加速

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――社員の満足度が高ければ、定着率は高そうですね。

ところが、日本では社員の定着率が必ずしもよくない。残念ながら離職率は、私が満足のいく数字にはなってない。これから、その点の改善もしなければいけない。そのためには働きやすい環境、自由闊達な社風を醸成していく必要がある。それはもう日付変更線を越えたら一気にできるという話ではないので、時間をかけてきちんと作り込んでいきたい。

この会社の良さというのは、これまで学卒で採用した社員がゼロ。全部が途中入社なので、いろいろな企業のDNAを持ち込んでくれている。そこが私は、逆に強みだと思っている。異なったDNAをうまく化学反応させるのが私の役目で、その化学反応がうまくいけば、すごい爆発力にもなる。それをできるかどうかが、私の役割。ダイバーシティの中から個性のある独自のDNAができて、すごい破壊力生んでくれると思う。

とは言っても1000人、2000人の会社にするためにはずっと中途採用でいいのか。さすがに、それは難しいので、来年からは新卒採用をする。これも本社ではやっていないので、ジャパンモデルのひとつだ。

――新卒の人がどう育つか、どう育てるか、ということで文化がつくられていきますよね。

そうなんですよ。人を育てるためのプロセスもつくらなければいけない。そこを考える中で、セールスフォースはどういう会社なのか、ということを考えていくことに繋がる。中途採用の場合、うちの会社に早く慣れてよ、で終わっちゃう。そうすると企業文化というのはつくれない。

新卒採用を本格化

――来年の春に入社する新入社員は?

来年は少なくて、女性が3人、男性が2人。というのは私が入ってから募集したので、就職活動は終わってしまっていた。来年は5人でも、その次からはケタが変わる。

新卒募集をして感じるのは、ブランドの認知度がきわめて低いということ。学生さんから見ると、まだまだセールスフォースって何屋さん? というところがある。BtoBのITの中でいうならば、マイクロソフトに行きたい人はセールスフォースも受験する、というレベルにはなりたい。

――日本法人を独立的に運営する、ということでは将来はIPOも?

以前、セールスフォースジャパンには本社だけでなく、株主が何人かいた。そういう時にはIPOを含めてイグジットをどうするかということを考える必要があったと思う。でも今は100%親会社が持っているので、そういう話にはならないと思う。

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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