会長自らデモ実演、オラクルクラウドの迫力 オラクルオープンワールド2014現地リポート(3)

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セールスフォースへの対抗意識を前面に

昨年のオープンワールドでは2回目の講演はドタキャンしたラリー・エリソン会長。冒頭には謝罪の言葉もあった

IT業界のカリスマ、ラリー・エリソン会長兼CTOは、昨年のアメリカズカップ(ヨットの世界大会)での優勝映像を流して登場。クラウドの全面的な強化を改めて強調した。クラウドのレイヤーを3つともやるという宣言だ。すなわち、アプリケーションソフトの部分(SaaS)、プラットフォーム(PaaS)、そしてインフラ(IaaS)だ。この3つを直結させ、スムーズに動かそうというものだ。

そのために設定したゴールは3つ。「かんたんで使いやすく、できるかぎりモダンにし、コストも削減することだ」(エリソン会長)。使いやすくするために、ボタン1つでクラウドに上げられるようにした。そして、モダンに。これはクラウドに上げると自動的に効率的なマルチテナントになる。そして、たくさんの自動化を実現させ、スペースを配分するような労働集約的と言われる部分を排除しオートメーション化した。「人が行う部分、すなわちコストのかかる部分を削減した」というのだ。

プラットフォームの基盤部分はデータベース、その上にウェブロジック、JAVAサービスが載るが、そのプラットフォームには同時にソーシャルの機能を備えたという。「アプリケーションはアンドロイド、iPhoneどちらでも動く。モバイルの機能がすでにプラットフォームに組み込まれているからだ」とラリ会長は説明。アプリケーションがそのままソーシャルになるのだという。グループで作業をしたり、社内でコミュニケーションを取るにも、いまやソーシャルは欠かせないと判断したようだ。

また、セキュリティも重視したという。クラウドのどのレベルでもセキュリティは重要。それをアプリケーションに入れる必要はない。インフラとプラットフォームに広範囲なセキュリティ機能を組み込まれているからだ」という。

「我々はSaaSのアプリケーションを他社以上に多くつくった。そのアプリケーションがすべて乗る。我々だけが会社として唯一、カスタマーエクスペリエンス用のアプリケーションスイートも用意しているし、人材管理用も出しているし、ビジネスプランニング用のアプリケーションも出している。つまり、SaaSに関しては3つの主要分野をカバーしている」(エリソン会長)というのだ。

SaaSの会社でプラットフォームもやっている会社は少ないが、例外もある。それは、アプリケーションをSaaSのみに専念するセールスフォース。同社のマーク・ベニオフCEOとの交遊も古く、かつてはラリーが役員を務め、昨年に改めて提携関係を結んだ相手だ。

「ベニオフのことを悪く言いたくないが、セールスフォースは我々のプラットフォーム上、オラクルデータベース上に載せているもの。JAVAに基づいてつくっている。彼らがセールスフォースワンを売ったときに、それらは彼らがビルドしたものではない。ひとつのプラットフォームは彼らが社内で使う。でもまったく別のプラットフォーム、標準ではないプラットフォームを彼らは顧客に提供しているのだ」と手厳しい。

一方で、「我々はひとつのプラットフォームだけ。それは我々も使っているものとまったく同じプラットフォームでアプリの拡張ができる」と技術的な優位性にも言及した。

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