勉強が進まない理由を「忙しい」で片付けるな 「ピタゴラスイッチ」を仕掛ければ継続できる

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2つ目の仕掛けは「競争」。これは当然ですね。競走馬の調教でも、単走よりも併走(他の馬との競走)の方が馬は早く走りますし、強度の高い練習ができます。人間も同じ。小さな子供が楽しそうにかけっこするのを見ればわかりますが、人間は他人との競争が本質的には大好きだし、競争によって自分一人で出せない力を出すことができます。

ご質問のケースで言えば、同じ宅建を目指す仲間と模試の成績などを勝負するといいでしょう。このときのポイントは「ニンジンをぶら下げる」こと。勝ったときのご褒美を設定しておくことでより頑張るインセンティブが生まれます。

私は高校生の時、昼ご飯を賭けて予備校模試の順位を競って勉強していました。大した金額ではないですが、本能的な「負けたくない」という気持ちに加え、「あいつにドヤ顔された状態で昼飯を奢りたくない」という気持ちがありますので、原始的ながらこの方法はすごく頑張れます。

人の「イジワル心」を利用する

最後の仕掛けは「監視」。人間というのは、私も含め元来怠け者にできています。なので、ちょっと目を離せば仕事でも勉強でもサボる、というのが当たり前です。学生時代、先生が休んで「自習」となった日は、みんなたいていサッカーや麻雀をしていましたよね? 上司やマネージャーがいないときにやけにテンションの高い同僚、いますよね? 学生も社会人も一緒。「監視」されなければサボってしまうのが人間です。

逆に、この「監視」をうまく使えばモチベーションを維持できます。もっと言ってしまえば「人のイジワル心を利用すること」が必要です。

たとえば、私の場合は、何かの試験を受ける場合、周囲の人間に「この試験をいついつ受ける」と言います。そうすると、試験後には「どうだった?」と聞かれますし、試験までの間にも「はかどってる?」などと聞かれます。

この時の周りの人間の心情には、大なり小なり「どうせ続かないんだろう」、「全然ダメで落ちたって言うんだろうな」という、イジワル心があります。否定してもダメです。あなたにもあります(笑)

しかし、このイジワル心が自分にとってのプレッシャーとなり、結果としてモチベーションを維持することができるのは事実。「監視」されると、それが後に引き下がれないプレッシャーとなり、「やっぱりやめた」というふうに言いづらくなるのです。家族や恋人など身近な人に限らず、イジワル心の強い友人や同僚にも「監視」してもらうのがモチベーション維持には効果的です。

と、好き勝手述べてきましたが、あなただけのピタゴラスイッチでモチベーションを維持してみてください。今年の合格を心より祈念しております。

鬼頭 政人 資格スクエア創業者、弁護士

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きとう まさと / Masato Kito

1981年生まれ。開成中学、開成高校を特別優等の成績で卒業後、東京大学文科1類(法学部)に現役で合格。同大学法学部卒業後、慶應義塾大学法科大学院に現役で進学し、同大学院在学中に司法試験に一発合格。司法修習を経て都内の法律事務所に弁護士として勤務。ベンチャー企業を多面的に支援したいと考え投資ファンドに転職した後、22013年12月に資格試験対策をオンラインで提供する「資格スクエア」を創業、その後、ワンストップ電子契約サービス「NINJA SIGN」(後にfreeeサインと名称変更)も創業。著書に『東大合格者が実践している 絶対飽きない勉強法』など。

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