オラクル、「クラウド活用」で何ができるのか オラクルオープンワールド2014現地リポート(2)

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ただ、IT予算は増えない。「ITのインフラはコモディティでやる。株主のことを考え、コンペティターのことを考えながらインフラを整え、現業部門のコストダウンにつなげてきた」という。ただ、ビッグデータの活用など革新には積極的だ。「何が売れているのかリアルタイムでも把握するようにして、瞬時に対応できるようにしたい。それにはビッグデータも活用するし、周囲にはつねにリアルタイムのデータが入ってくる。それを活用し意思決定を速くし、いい結果を得たい」。ただ、データの量は膨大になる。数字では複雑に見える状況を把握するために、データのビジュアル化を図っているのだという。

結果として、どうなっているかという話をするのではなく、その情報を共有しておき、「貴重な時間は、なぜなのか、実際のプランづくりに使っている。実際、1時間から1時間半で実行に移れる」(パッセリー二CIO)という。

ゼロックスが取り組む課題とは?

対話形式が目立ったハードCEOのセッション、ゼロックスからはスティーブ・リトルCIO(写真右)を迎えた

ゼロックスからはスティーブ・リトルCIOが登壇。大部分がサービス収益という複写機ビジネスを語った。大部分がサービス分野なだけに、人員も巨大だ。14万5000人の従業員を抱えており、このワークフォースを管理するためにグローバルHRシステムを導入している。もちろん、「単にツールを入れればいいわけでなく、価値は世界的に統一したかたちでやらなければいけない」(リトルCIO)という。

ただ、IT予算は若干下がっているという。たくさんのことを少ないコストでやろうとしているのが実情という。そして、歴史のある大企業なだけに30年前につくったようなレガシーシステムも動いている。それも同じようなことをするシステムが複数動いているので、それを簡略化しようと取り組んでいるのだ。ベストのプラットフォームを選び、そこに統合しようとしているのだという。重視するのは事業の一貫性、そして共通のプロセスの世界的な維持だ。

HCMのプロジェクトの進捗については、人事のチーフディレクターとの共同作業。パートナーシップが重要と語る。特に事業部門と一緒にやる作業では、パートナーシップは欠かせないようだ。そして、レガシーシステムはこれから数年間、2〜3は維持することになると実情を語った。特にBPOや金融機関用の仕事なども何千もあり、それを管理しなければいけないというのだ。

FedEXのロブ・カーターCIOはビデオメッセージで登場。クラウド活用については、「パブリッククラウドへもアクセスできるように、ハイブリッド方式にしている」と話した。「ファイアウォールの内部と外部、どちらにもアクセスできないといけない」(カーターCIO)からだ。FedEXの場合も、一時期ものすごいたくさんのボリュームのデータを処理する必要があるし、それがまた縮んだりするため、クラウドに頼らざるをえない状況もあるのだ。

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