(第38回)【変わる人事編】厳しさを増す理系就活。そのサバイバル法

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 就活の第1の関門がWebテスト。2000年代の前半までは、会社説明会の後にテストをし、エントリーシートを書かせていたが、いまはWebテストで最初の選抜をする。テストの内容は企業によって異なるが、いわゆるSPIテストに準じている。
 心理特性も調べられるが、国語力、英語力、社会常識、数理能力も測られる。まともな理系学生が数理能力で落ちることはないだろうが、言語力や社会常識に劣る者は多いはずだ。心理特性は変えられないけれど、知識は勉強で補える。SPI対策本はたくさんある。Webでも勉強することはできる。

 「やる気」「熱意」があっても、「能力」がない学生を企業は選ばない。企業が重視するのは「社会人としての能力」だ。「社会人としての常識」と言ってもいい。社会常識、ある程度の国語力、英語力は社会人として必須の能力だ。

 Webテストをなめてはいけない。数万人のプレエントリー数の企業は少ないが、数千人のプレエントリーはけっこうある。その数千人の過半数がWebテストで落とされる。Webテストの不合格率は公開されておらず、正確なデータは存在しないが、7割程度ははねられると覚悟したほうがいい。

●就活本をそのまままねると嫌われる

 就活本に書かれている内容には気をつけてもらいたい。どの本も「自己分析」の重要性を説き、エントリーシートの書き方、面接のポイントを説明している。書かれていることは正しいが、そのまままねると良い結果につながらない。人事が嫌がるのは「就活本の物まね学生」だ。

 多くの学生が就活本に毒されており、そんな学生を人事は「退屈」「情けない」「腹が立つこともある」と厳しく判定する。就活本に書かれているのは「手本」である。それをそのまままねる学生が多く、「どの学生も判を押したように同じことを言う」。人事が求めているのは、それぞれの学生の個性なのに、学生は自分らしさを「演出」しようとして就活に失敗する。

●池上彰の番組で日本語の力を磨け

 就活本では、エントリーシートの書き方、面接でのしゃべり方、メールでの文章の書き方などの「国語力」が重視されている。特に敬語の解説が多い。ただし気をつけてもらいたい。就活本の解説には間違いが多い。間違いが多い理由は、いままでに出版されている敬語の本や就活本を下敷きにしてコピペで書いているからだろうと思う。
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