長寿企業は地域の祭りにも参加します

強さの訳はここにある②――コミュニティ編

世界から見ても、日本は創業100年以上の長寿企業の宝庫と言われています。なぜそんなに長寿企業が多いのか、長く繁栄する秘訣はどこにあるのか。その謎を解き、いまの日本企業が学ぶべきことを探ろうと、このたび『創業三〇〇年の長寿企業はなぜ栄え続けるのか』を出版しました。

 本連載では本書で書き切れなかったことや裏話などを3回に分けてお伝えしていくことにします。今回はその2回目。コミュニティと深い関係を解説します。

●CSR、CSV経営とは一線を画す

企業が利益を優先するだけでなく、顧客、株主、従業員、取引先、地域、社会などのさまざまなステークホルダーとの関係を重視しながら事業運営を行うCSR 経営を行う企業が増えています。日本には「三方よし」というCSR的な企業観が日本には古くから当たり前のものとして存在していましたから、特筆に値する ことではないかもしれませんが、「ソーシャル○○」というような文脈で、CSR的な話が為される数が増えているのは事実でしょう。

 CSR経営を超えるコンセプトとしてハーバード大学のマイケル・E・ポーター教授が提唱したのが、CSV経営(Creating Shared Value:共通価値創造)です。企業が社会的問題をビジネスの機会として捉え、本業を通じて社会的価値を創造し、その結果として経済的価値が創造されるという考え方です。社会変革を促し、企業が経済的な成功を収める新しい経営戦略として注目されています。

 300年以上の歴史があり売り上げが50億円を超えている、「日本型サスティナブル企業」と名付けた企業の中にも、自社のみの利益を追求するのではなくCSR経営を志向したり、本業を通じて共通価値を創出するCSV経営を実践している企業が数多く見受けられます。 

 しかし、これらの企業の多くにCSV経営とは少し異なった特徴を見出すことができます。それは、コミュニティとのつながりを極めて大切にし、社会的価値と経済的価値の共通価値による成長(社会的問題の解決)というよりは、「コミュニティとの共存を通じた価値創造」による、企業の継続に焦点を当てている点です。

 これらの企業は、地域を中心として事業に関わりの深いさまざまなステークホルダーと有形無形のつながり(時にはしがらみ)を構築し、事業の存続がコミュニティの存続にも必要不可欠となる「共存価値」を創出しているのです。その企業がなくなれば、その地域らしくなくなり、その地域から離れたら、その企業らしくなくなってしまうはずです。

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