東大卒ママたちのジレンマ
さて、今回の結論をまとめると、勉強についてはうるさく言わず「放任」とはいえ、しつけは比較的しっかりする。好奇心を発揮できるようさまざまな機会は与え、興味を持ったものに対しては応援してくれる……というのが典型的な「東大女性たちの育った環境」と言えそうでしょうか。
ただし、言うのは簡単ですが、これを自分の子どもに対してやってあげられるかどうかは別問題です。私たちは東大卒のママの集まりですが、「子どもの教育」を語るときに最も悩ましいのは、仮に自分が受けた教育が「よかった」と思っていても、自分の子どもに対しては「自分の育った家庭を再現しにくい」という点です。
実は、今回アンケートを取った東大卒ママ70人のうち、7割にあたる49人が専業主婦家庭で育っています。これに対し、自身が専業主婦なのはわずか6人。もし、母親が専業主婦になって子どものしつけや好奇心を育てることで、子どもが高学歴を得ているのだとしたら、共働き率が非常に高い今の東大卒ママたちの子どもは、親を超えられないのでしょうか。
次回からはいよいよ、このように育った「東大女子」たちが、母になったとき何を子どもに期待するのかについて、見ていきたいと思います。
東大ママ門とは…2011年のホームカミングデーをきっかけに発足した東大卒業生の同窓組織です。現在、0歳から小学生の子を持つ層を中心に、20~40代の東大卒のママ(一部プレママ)160人が登録。「子育てをしながら働き続けるつもりだが、会社内にはまだロールモデルがいない」「子どもの教育観について近所のママ友にはどこまで打ち明けていいかわからない」というような悩みを、同じ大学出身という共通基盤の下にFacebookのグループページ(非公開)で共有したり、オフ会、勉強会などで情報交換しています。
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とうだいままもん / Todai mamamon
団体概要:2011年のホームカミングデ-をきっかけに発足した東大卒業生の同窓組織。現在、0歳~小学生の子を持つ層を中心に、20~40代の東大卒のママ(一部プレママ)160人が登録。「子育てをしながら働き続けるつもりだが、会社内にはまだロールモデルがいない」「子どもの教育観について、近所のママ友にはどこまで打ち明けていいかわからない」などの悩みを、同じ大学出身という共通基盤の下にFacebookのグループページ(非公開)で共有したり、オフ会、勉強会などで情報交換している。立ち上げの経緯はこちら(リンク)。
立ち上げ人:中野円佳:2007年、東京大学教育学部卒。『「育休世代」のジレンマ』(光文社新書)著者。同著では制度が整ってからも総合職女性が活躍しづらい社会構造を指摘。東大ママ門や本連載と直接関連はないものの、高学歴女性の抱えるジレンマについて触れている。
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