「キャラクター化」される、新幹線電車 ママ鉄も大好き!鉄道グッズ&おもちゃの新潮流

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風向きが変わり出したのは、1980年代に入ってから。国鉄が「輸送力至上主義」から「増収」「旅客サービス強化」へと大きく方針を転換し、前後して「ブルトレブーム」が巻き起こった頃だ。機を見るのに敏なメーカーが、さっそくブルートレイン(寝台特急)のヘッドマークなどをあしらった文房具などを作り、町中に流したのである。小学校高学年だった私も、Tシャツを買ってもらって喜んで着ていた記憶がある。

画期的な子供用の鉄道靴下「鉄下」

ただし、ここまでは購買層のほぼすべてが男の子であった。

だが、今は様相が違う。男の子はもちろん女の子も、そして子供たちの母親までもが大きな関心を寄せる商品が、鉄道駅を中心として売られている。

大阪市此花区に本社を置く株式会社立誠社は、1923(大正12)年に設立されたという長い歴史がある。最初は鉄道地図の販売から始まり、現在は各種キャラクターグッズ、雑貨、玩具などの企画・販売や、店舗プロデュースなどを事業内容としている。関連事業会社を含めた年商は19億5000万円という企業だ。

立誠社の主力商品「鉄下」。新幹線をモチーフにした子供用靴下というアイデアが、人気商品を生んだ

この立誠社が、ちょうど鉄道ブームと言われていた2009(平成21)年に販売を開始した「鉄下」が、ママと子供の間で人気商品となっている。

同社の東京営業本部でうかがった話によると、この商品は、「小さな子供向けの鉄道グッズ、特に日用品はありそうでなかった」と目をつけたことが出発点。靴下になったのは、「鉄道車両のデザインをアレンジしたら、可愛らしい」という、ほんのちょっとしたひらめきからだそうだ。

子供用靴下の形は、確かに新幹線の前頭部分と似ている。

当初のラインナップはN700系、0系、ドクターイエロー(電気軌道総合試験車)など。やはり親しみやすいことから新幹線が中心であった。

ところが「売れるかどうか。スタート時点ではチャレンジの部分が大きかったのですが、うまく”すき間”にはまりました」とも同社が述べるように、すぐ人気商品となり、JR在来線や私鉄の車両をあしらったものも多数登場。今では、すべての「鉄下」のうち新幹線を題材としたものは、約20%にとどまっているという。

しかし売り上げ額で見れば、新幹線だけで「鉄下」全体の約60%にも及ぶとのこと。販売数で現在、上位を占めているのもJR東日本のE5系、E6系、E7系、JR東海・西日本の「ドクターイエロー」などだ。やはり子供には、色が派手であるとか、本物の車両の形もかっこいいものが受けるようだ。

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