スタバ、"一味違う"10月値上げのカラクリ 主因は原材料価格の上昇にあらず?

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新商品の投入に合わせて、全国に2万5000人いる「バリスタ」と呼ばれる店員の研修も強化した。店舗ごとのエスプレッソの抽出マシンも順次、改良していく。

定番商品のテコ入れが課題だった

スタバは9月11日に2015年3月期の業績見通しを上方修正したばかり。主要因は上期中心に氷菓飲料フラペチーノの販売が好調だったことだ。

「今回の価格改定によって下期以降に客数が減ってしまうことは想定していない。業績への影響も小さい」(広報)。会社側は今下期(2014年10月~2015年3月)の既存店売上高は前年比で5~6%増を見込んでいるという。

近年、スタバの業績は好採算であるフラペチーノの売れ行きに左右される面が大きい。新商品を出すごとに若い女性を中心に販売を伸ばしてきた。その結果、フラペチーノの販売が好調な上期前半に利益が出やすい体質になっている。

今回の値上げは今後のスタバを占ううえで大きな意味を持ちそうだ(撮影:風間仁一朗)
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今回の値上げは今後のスタバを占ううえで大きな意味を持ちそうだ(撮影:風間仁一朗)

裏を返せば、フラペチーノを除く定番商品へのテコ入れが課題の1つだった。ラテやカプチーノなどの全面的なリニューアルは、スタバが日本に上陸してから18年で初めてのこと。同社にとっても大きなチャレンジとなる。

野村証券の繁村京一郎シニアアナリストは「グローバル企業でありながら、日本法人として独自に開発し、今の消費者に合った価値訴求をしていくのは評価できる。業績が上り調子の今だからこそ決断できたのではないか」と分析する。今後のスタバの成長を占う意味においても、今回の定番商品の刷新は1つの試金石となりそうだ。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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