大陸内の統合を加速させ「アフリカ合衆国」目指す--ジャン・ピン アフリカ連合委員長

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--日本政府へ、経済協力強化に向けた要望はありますか。

日本はドナー(開発援助)国として世界でトップ級だし、アフリカのドナー国としても上位の一角だ。でもここでも、直接アフリカに開発援助を行っていない。なぜ世界銀行経由で実施するのか。これでは、日本がアフリカにどのくらい援助しているのかわからない。巨額援助であることはわかるが、確認できない。

国連開発計画(UNDP)も同じ。これはUNDPの拠出金だと言われるだけで、その源泉が日本からだとは表示されない。だから、直接に援助を提供したほうが透明性も改善されるし、可視化もできる。われわれもこれが日本からの援助だと、はっきり受け止められる。

それだけではない。コストも削減できる。UNDPに提供すると、その人件費などがあるから、10%ほどの手数料が援助から引かれてしまう。やはり直接援助が望ましい。

--アフリカの持続的成長を目指し、AUが取り組む戦略課題は。

アフリカ統一機構(OAU)からAUになって8年。アフリカの統合はスピードを上げて進んでいる。首脳たちは統合をもっと進め、やがては大陸連合に持っていこうと計画している。いわば、「アフリカ合衆国」をつくろうという考えで合意しているのだ。そのためには、多様な制度をその目的に向け変革しなければならない。

(鈴木雅幸・週刊東洋経済編集長、松浦 大 撮影:山内信也 =週刊東洋経済2010年8月14・21日合併特大号)

Jean Ping
1942年生まれ、ガボン共和国出身。69年パリ第一大学卒業、75年仏国家博士号(経済学)を取得。ユネスコで勤務後、90年からはガボンで多数の大臣職を歴任。2004・05年に外務大臣として第59代国連総会議長就任。08年4月より現職(第2代AU委員長)。

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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