英国は分裂か?フェイスブックは独立派優勢 18日、ついにスコットランド独立を問う住民投票へ

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スコットランドの新聞「ヘラルド」紙は賛成派。賛成派運動のトップが賛成派が支持を伸ばしていることが「励みになる」という発言をとって、17日の1面で「賛成派が世論調査の勢い歓迎」とする見出しをつけた。ヘラルドは5月に賛成派支持を明確にし、発行部数を大きく増加させている。

同じくスコットランドの「スコッティシュ・サン」紙はあえてどちらの陣営も選択しない道を選んだ。賛成か反対かどちらに転んでも恥をかかないようにしたのかもしれない。17日付1面はテレビの人気オーディション番組「ブリンテンズ・ガット・タレント」(英国にはタレントがいる)を見出しに使った。反対派ダーリング元財務相とサモンド自治政府首相の写真を並べ、どちらがより秀でているかを選ぶことを勧めた。

英国の全国紙で保守系「デイリー・メール」は独立反対派だ。スコットランド国民党(Scottish National Party)の「SNP」という文字を使って、「最高にいやな政党」(The Seriously Nasty Party)という1面見出しだ。

フェイスブックでは賛成派が活発に

 賛成派と反対派が拮抗するものの、賛成派のほうが若干活動的であることを示しているのが、フェイスブックの最新調査だ。8月1日から9月8日まで、スコットランドの独立についてのエントリー(タイムラインへの入力、「いいね」および「シェア」)を調べたところ、85%がスコットランドからのものだった。205万のエントリーが賛成派、196万が反対派のものだった。

賛成派のキャンペーン運動のページには25万8000のいいね!が集まり、反対派のいいね!は18万2000だった(BBCニュース、16日付)。いずれにしろ、間もなく、英国の国のかたちを大きく変えるかもしれない、重大な投票が行われる。

小林 恭子 在英ジャーナリスト

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こばやし・ぎんこ / Ginko Kobayashi

成城大学文芸学部芸術学科(映画専攻)を卒業後、アメリカの投資銀行ファースト・ボストン(現クレディ・スイス)勤務を経て、読売新聞の英字日刊紙デイリー・ヨミウリ紙(現ジャパン・ニューズ紙)の記者となる。2002年、渡英。英国のメディアをジャーナリズムの観点からウォッチングするブログ「英国メディア・ウオッチ」を運営しながら、業界紙、雑誌などにメディア記事を執筆。著書に『英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱』。

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