1階にも食品売り場!「阪神梅田本店」の大変貌 7年にわたる建て替えで進める「脱・古い百貨店」

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食関連のフロアは1階だけでなく、地下1階の食料品売り場や地下2階・9階の飲食店街など、全11フロアのうち4フロアを占める。2022年春の建て替え完了時には食関連の売り場面積は2014年と比べて4割も増え、2022年度の全館売上高目標730億円のうち、食関連だけで58%になるという。デパ地下に強い同店は関西では「食の阪神」として以前から有名だったが、その位置づけをさらに前面に押し出した形だ。

逆に、かつては百貨店の収益源だったにもかかわらず、近年は不振が顕著な衣料品の売り場は大幅に減らした。また、建て替え前まで阪神梅田本店にも入っていたラグジュアリーブランドは、道路を挟んで位置する阪急うめだ本店に集約した。

高級志向の阪急と差別化を図る

「従来の高級や上質といった価値観をターゲットにした百貨店ではなく、日常や暮らしを中心にした新しい店作りに取り組んだ」(阪急阪神百貨店の山口俊比古社長)。日常利用を促し、高級志向の阪急との差別化をより鮮明にした。

百貨店の画一的な売り場構成や品ぞろえが、「どの百貨店に行っても同じで面白くない」という理由で客の百貨店離れの一因になっているという指摘は多い。阪神梅田本店の取り組みは、店ごとの個性をより明確にし、慣習的な営業手法から脱して新しい百貨店の形を作っていくことができるかどうかの試金石となりそうだ。

岸本 桂司 東洋経済 記者

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きしもと けいじ / Keiji Kishimoto

全国紙勤務を経て、2018年1月に東洋経済新報社入社。自動車や百貨店、アパレルなどの業界担当記者を経て、2023年4月から編集局証券部で「会社四季報 業界地図」などの編集担当。趣味はサッカー観戦、フットサル、読書、映画鑑賞。

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