“メディカルプア”を救え! アクサ生命の新がん保険

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 この商品は、特に独身女性をターゲットにしている保険だけに、販売方法にも気を使っている。「こうした女性特有のがんに関する保険については、同年代の女性が相談相手になるのがいい」(ピアソン社長)。

6月2日、アクサ生命本社ビル内に「収入保障のがん保険」専用のコンタクトセンターを開設した。この保険に関する資料請求や問い合わせを受け付けるほか、通信販売の申し込みもできる。さらに、若い女性が相談しやすいように、同年代のスタッフをそろえた新販売チャネル「フローラル・ソリシター(FS)チャネル」も首都圏に新設し、対面による商品説明を受けることも可能にした。こうした三つの専属営業チャネルの連携も大きな特徴で、アクサ生命がこの商品に懸ける意気込みが伝わってくる。

さらに、この「収入保障のがん保険」の発売を契機に、商品の売り上げの一部を前出の桜井さんが代表を務める「キャンサーサバイバーズリクルーティングプロジェクト」に寄付する。このプロジェクトが掲げる「がん患者の就労・雇用支援」という活動を支援するためだ。

プロジェクトでは現在、全国のがん患者に呼びかけて、「がん患者の就労と家計に関する実態調査」を行っている。まだあまり知られていないがん患者の就労環境の実態が明らかになっていけば、がん患者が闘病していくうえでの環境の改善にもつながるだろう。調査結果は、この8月にも公表される予定だ。

今年に入り生保各社は、独身女性をターゲットにした新しいがん保険(特約含む)を相次ぎ投入している。収入保障というまったく新しい商品の登場は、がん患者の切実な潜在ニーズに応え、今後のがん保険にも新しい流れを作るかもしれない。

(木村秀哉 =週刊東洋経済2010年8月7日号)

記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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