「伊勢丹流」で衣替え、銀座三越改装の成算

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「伊勢丹流」で衣替え、銀座三越改装の成算

最悪期は脱したものの、依然本格回復は程遠い百貨店業界。厳しさが続く中、注目の銀座三越が9月11日、増床オープンする。

7月22日に会見した三越伊勢丹ホールディングスの石塚邦雄社長は、「2008年の三越と伊勢丹の経営統合後、真価が問われる初の大型開発プロジェクト。百貨店業態の役割が終わったのではとされる中で、一つの答えを出していく」と、力強く語った。

今回の改装では、本館(西側)と新館(東館)を一体化、売り場面積を2.3万平方メートルから3.6万平方メートルに拡大する。増床後1年間の売り上げ目標は09年度比約5割増の630億円。隣接する松屋(売り場面積3.2万平方メートル)の560億円を抜き、一気に地域一番店の座を奪う計画だ。

増床に伴い、大規模リニューアルも実施する。従来1階にあった化粧品売り場を地下1階に、食品売り場を地下2~3階に配置するのはこれまでにないアイデア。特に地下鉄銀座線と直結する地下1階を「第2のグラウンドフロア」と位置づけ、集客力アップにつなげていく考えだ。

一方、商品展開では「伊勢丹流がかなり入った」(業界関係者)とされる。ブランドショップの出店を最小限に抑え、比較購買しやすいアイテム中心に展開。石塚社長は「百貨店はワンストップショッピングに価値がある。移動しやすく、まさに店の中で銀ブラが楽しめるようにする」と、その意図を話す。

 さらに「12の売り場で展開する『銀座スタイル』は店の象徴。練りに練った準備を進めている」(安達辰彦店長)と、テナント任せではない自主編集売り場を強化したのも伊勢丹流だ。

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