産業リサーチ(不動産) マンション業者は淘汰に、賃貸ビルも供給過剰の「2003年問題」

デフレが最も深刻な影響を及ぼしているのが不動産業だ。市街地価格指数はピークの1991年から商業地で6割、住宅地で3割下がっている。2001年末の国全体の土地資産額は1455兆円と、ピーク時に比べ1000兆円も減少している。
 一口に不動産業界といっても、そこにはマンション分譲、オフィス賃貸、住宅賃貸、マンション管理、不動産流通などさまざまな業態がある。これらすべてを手がける総合不動産もある。地価下落の影響が最も大きいのがマンション分譲とオフィス賃貸。マンション分譲では、最大手の大京が2002年5月に、藤和不動産が同年11月に債務免除を受け、当面の倒産を免れた。オフィス賃貸を主力とする総合不動産の大手3社(三菱地所、三井不動産、住友不動産)も膨大な土地含み損を抱えており、2002年中に処理策を発表した。三菱地所と三井不動産は膨大な含み益と相殺する形で損失を処理したが、歴史の浅い住友不動産は1000億円の含み損を、そのまま損失計上せざるをえなかった。
 こうしたバブル期の負の遺産問題に加えて、最近はマンション分譲がピークアウトし、オフィス賃料も下落局面にあり、不動産各社の収益はきわめてきびしくなっている。
 その綻びがついに具体化し始めた。マンション中堅のセザールが今年3月に倒産したのだ。昨年後半以降、資金繰りに窮していたからだが、そもそもマンションが売れなかったため。昨年3月末時点の棚卸資産回転率は0.82回しかなく、上場マンション会社の中では、ゴールドクレスト、藤和不動産に次いで3番目に低かった。
 今後の焦点はダイア建設。5月2日にメインバンクのりそな銀行に金融支援を要請したが、その後、りそな銀のほうが公的資金注入へ。ダイア建設の要請に対する結論はまだ出ていない。支援が実現しなければ、企業存続が危ぶまれる。このほか、同じ、りそな銀行をメインバンクとするニチモも、有利子負債が売り上げの2倍近くあるうえ、土地含み損を抱え苦戦している。ジェネラスコーポレーション(旧・地産トーカン)も、メインバンクがりそな銀行。マンション販売が、地方中心に苦戦しており、今後が注目される。
 オフィスビル賃貸では大型ビルの新規供給が急増する「2003年問題」が深刻化し、空室率が急上昇している。三菱地所の新規のビルは賃料を下げながらもほぼテナントが埋まり、順調に始動している。しかし、三井不動産は4月にオープンした汐留シティセンターで三井住友化学の統合破談の影響を受け、来年初オープン予定の日本橋のビルもメリルリンチ証券が果たして本当に当初の契約どおり、ほぼ全部のフロアに入ってくれるのか、不安が残る。住友不動産も六本木一丁目や西新宿の新規ビルでテナント獲得に苦戦している。
 なお国内総生産510兆円に占める不動産業の割合は約13%で生産額は66兆円。これは電気機械の3倍、輸送用機械の6倍だ。不動産業の売上高営業利益率は8.6%。全産業平均2.6%の3倍以上の高水準と大変採算の良い業種となっている。しかし、賃料下落が本格化するこれからは、採算が急激に低下する懸念が強い。

(株)東洋経済新報社 電子メディア編集部

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