ワークマン「女性向け店急増」に隠れた意外な戦略 「アパレルへ移行」は誤解、職人の利便性を重視

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お客様の比率としては、ワークマンは、作業客が8割で一般客が2割。ワークマンプラスは、作業客が6割で一般客が4割。#ワークマン女子は一般客のみ(女性客が6割、男性客が4割)を目安としている。

#ワークマン女子を増やしていくことを計画しているというと、アパレルへの移行を考えているのではないかと思われるかもしれないが、まったくの誤解だ。

#ワークマン女子の出店を拡大中(写真提供:ワークマン)

現在、ワークマンやワークマンプラスでは駐車場がいっぱいになっていて、職人さんが買い物をしようとしても車が停められないケースが出てきている。そのため、一般客にはできるだけ#ワークマン女子を利用するようにしてほしいと考えている。わかりやすくいえば“一般客を広い駐車場がある#ワークマン女子に誘導したい”という発想である。

職人さんと一般客で店内の滞在時間、駐車場の利用時間を比べると、一般客のほうが滞在時間は長く、駐車場の利用時間は約3倍にもなる。一般客が増えていけば、職人さんが買い物をできなくなるので、それを避けたいわけである。

つねに駐車場の空きスペースをつくっておきたい

職人さんの場合、例えば安全靴がダメになったときにはすぐに新しい安全靴を買わなければ仕事にならない。それができない事態をふせぐためにもつねに駐車場に空きスペースをつくっておきたいのである。

駐車場問題を放置しておくと、店舗の評判は悪化しやすい。違法駐車が増えれば問題なのはもちろん、駐車場に空きがないので店に入れなかったという経験をしたお客様は、二度と店に来てくれなくなることも考えられる。そういう事態は絶対に避けたい。一年中、コンスタントに来店を続けてくれる職人さんは顧客として大切な存在だからだ。

プロ需要が多い繁盛店の近くに、広い駐車場を設けた#ワークマン女子をつくるようにすれば、職人さんと一般客を分けられる。

既存の加盟店のお客様を奪いたいわけではない。加盟店にとって最も重要なお客様である職人さんに店の利用を続けてもらうためにこうした策をとっているのである。

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