(第36回)【変わる人事編】社員から社長や会社までの距離は、異星並みに遠いという驚くべき事実

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●「距離を縮める」ための施策は、よくある人事戦略と酷似しているが…

 こんなに多くの社員が社長や会社に対して遠い存在と回答し、その距離の大きさとモチベーションが反比例していることは大きな問題だ。距離を縮め、社員のモチベーションを回復し、活力を取り戻す必要がある。その点についても社員自身の回答が上げられている。
会社との「気持ちの上での距離」を縮めるとすれば、どれが役立ちますか(%)
 会社との距離を縮めるものは何か? 19%強が「会社の理念や戦略を認識し、共感できる」を選んでいる。次いで「やりがいのある仕事ができる」(17%強)、「社内コミュニケーションが活発で、全社的な動きが感じられる」(17%)が役立つ方法と回答している。
 2位として選ばれたのは、「社内コミュニケーションが活発で、全社的な動きが感じられる」(15%)、「仕事上の目標が明確で、納得できる」(14%強)などだ。

 いずれも人事戦略で重要視されている項目だ。会社が戦略的に遂行したいことと、社員の考えていることはよく似ている。ただし、人事戦略を言葉で語るのは簡単だが、企業文化として根付かせることは難しい。また、上からの目線で戦略を語っても下は納得しない。
 企業文化は指示で作れるものではなく、社員が職場で醸成していくものだ。「共感」「やりがい」「評価」「納得」「満足」が得られる職場にするためには、上司の能力や人格も必要になるだろう。

 とかく社長と接するのは役員や部長クラスだけになりがちだが、社員に姿を見せるくらいのことは意識してするべきだろう。
佃 光博(つくだ・みつひろ)
早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年、(株)文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。84年、(株)ピー・イー・シー・インタラクティブ設立。87年、学生援護会より技術系採用メディア「μα(ミューアルファ)」創刊、編集長。89年、学生援護会より転職情報誌『DODA(デューダ)』のネーミング、創刊を手掛ける。多くの採用ツール、ホームページ制作を手掛け、特に理系メディアを得意とする。2010年より、「採用プロ.com」を運営するHRプロ嘱託研究員を兼務。
佃 光博 HR総研ライター

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つくだ みつひろ / Mitsuhiro Tsukuda

編集プロダクション ビー・イー・シー代表取締役。HR総研(ProFuture)ライター。早稲田大学文学部卒。新聞社、出版社勤務を経て、1981年文化放送ブレーンに入社。技術系採用メディア「ELAN」創刊、編集長。1984年同社退社。 多くの採用ツール、ホームページ製作を手がけ、とくに理系メディアを得意とする。

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