2022年はいよいよ「深刻な危機」がやってきそうだ 株式市場が伝える「インフレ懸念」の「真実」とは?

✎ 1〜 ✎ 95 ✎ 96 ✎ 97 ✎ 最新
拡大
縮小

さらに、個人的に気になるのが、パウエル議長である。記者会見でのパウエル議長の様子や口調は、これまでと一変した。前回までは、エコノミストや投資家、そして記者たちが、どんなにインフレの危険性を言っても、金融緩和縮小および利上げについて問い詰めても、あくまでソフトで、ハト派の極みだった。とにかく市場を驚かせないことを最優先にする。市場の理解を得てから、動く、サプライズは絶対に起こさない、という姿勢だった。

それが、今回はとにかくインフレは供給サイドの要因であって、金融政策がウォッチするフレームワークの中のインフレではない、つまり、需要が過熱してインフレになっているというものではない、と何度も強く繰り返していた。しかし、一方では「インフレ自体はかなり深刻だ、そして長引く、ただし、コロナの状況が変わり、以前の状態に戻れば、インフレも変わってくる」ということを強調した。

パウエル議長はかなり焦っている?

つまり、かなり焦っているか、明らかに強い意志を持って戦う姿勢を見せている、インフレファイターの雰囲気を前面に押し出していた(自然に出ていた)のである。このように、セントラルバンカーたちはかなり焦っているのではないか。彼らは、投資家と違って、経済の現実、実体だけを見ている。その彼らが焦っている、ということは、かなりインフレは深刻だ、ということであり、それが実は心配しすぎだと事後的にわかることになるとしても、彼らが焦っている、という事実、セントラルバンカーの真実が重要で、彼らは今後急速に利上げに向かうだろう。

金利上昇は有無を言わさず「リスク資産投資家」を直撃する。そして、トルコなど、インフレ、通貨安に直面している弱い新興国を直撃し、世界経済には各地で悲鳴が上がるだろう。2022年はいよいよ危機になりそうだ(本編はここで終了です。次ページは競馬好きの筆者が競馬論や週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

次ページここからは競馬コーナー。2歳牡馬のチャンピオンは?
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT