Apple Watchはどこまで使える? ウェアラブルの標準にはなりそう

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ひとつめは時計という限られた形状の中に、情報を操れるだけのユーザーインターフェイスが備えられたことである。先日、ソニーがSmartWatch 3という製品を発表した。カーブドガラス採用のフェイス以外、すなわちバンド、フレームボタンなどは後から変えられるよう設計され、腕時計を見る仕草を検出すると、自動的にバックライトがオンになるなど3世代目としてこなれた製品になっている。

未リリースの最新Android Wearを採用しており、次期Androidの”L”リリース後にその本領発揮となるのかもしれない。しかし、ここ数日試用してみたが、現時点でもスマートフォンに届く情報の通知機能に関しては、そこそこ満足できる使用感に達している。充電のためにマイクロUSBを使わねばならない(Apple Watchはパッドを背面に付けるだけで良い)ことや、時計のフェイスデザインが今ひとつといった不満はあるが、ディスプレイの精細感は高められており、スマートフォンのコンパニオン機器としては、さほど不満はないのだ。

Android Wearは、Androidスマートフォンが持つ”Google Now!”という機能を基本にしている。ユーザーに対して先回りして情報を与えるこの機能がサジェスチョンする情報が時計に送り込まれ、それに対して時計側からアクションを起こす、というのが基本的な使い方だ。もちろん、Android Wear対応アプリからの通知を時計に表示させることもできる。

音声検索機能を呼び出したり、音声メモを取るといったスマートフォンのリモート操作も可能だが、現時点の使用感ではやはり”通知”が主で、ユーザーが積極的にアプローチするという考え方は希薄だが、時計というデバイスのサイズや位置付け、能力を考えれば、割りきって受け身で捉えるのも悪くない。

アップルはここに大きく切り込み、時計をスマートフォンの情報を見せる、よりユーザーに近いデバイスと捉えるのではなく、もっと積極的にインターフェイスとして活用するようApple Watchを設計している。デジタルクラウンを通じて、地図ならば拡大縮小、チャットやSNSのタイムライン表示ならスクロールなどのように、よりインタラクティブな操作を志向している。このことがApple Watchの世界観を広げるだろう。

ヒットはエコシステム次第

まだ生まれたばかりのApple Watchだが、このことがスマートウォッチという分野を起動するためのトリガーになるかもしれない。「手元のバンドがブルっと震えたら、その時にスマートフォンの画面を見ればいいじゃないか。どうせ操作はスマホでやるでしょ」と思わせないエコシステムを作れれば、Apple Watchはヒット商品になると思う。

もうひとつは、対応アプリケーションに奥深さを与えるための”仕掛け”が施されていることだ。ウェアラブル型デバイスの中でも一般的な機器に活動量計がある。ナイキのFuelbandは日々の活動を独自の単位に変換し、運動のモチベーションにしようというゲーミフィケーションの一種だが、使いはじめるとあまりの単純さに飽きてしまう。ジョウボーンのUPやフィットビットのFitbitなどは、生活をサポートするための活動量計として睡眠管理などもサポートするが、やはり生活週間をカジュアルにざっくりとビジュアライズするイメージである。

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